カウンセリングをしていると、
「理由は分からないんですけど、いつの間にか仲良くしていたグループのみんなから距離をとられていて、なぜか嫌われていたんです。未だに理由がよく分からないのです。私が悪かったとしか思えないのですが、どうしてなんでしょう?ひとりひとりと誠実に接してきたつもりなのですが・・・」
と、数年前の人間関係の傷を、まるで昨日のことのように話される方がいらっしゃいます。
そこでわたしは、「そのグループには中心となる人物はいましたか?」と尋ねます。
大概の方が「YES」とお答えになりますので、その人物(仮にAさんとします)の出逢った初期の印象を伺います。
するとこの手のお悩みを持っているクライエントさんがだいたい共通して仰るのが、
「こんなに気持ちを分かってくれる人初めてだった!」
「初対面から気が合った」
「今までに出逢った人の中で、一番親切な人だと思った」
「一緒にいると、自分のすべてをさらけ出せたし、なんでも話せた」
「この人の近くに居られるだけで幸せだと感じていた」
といった、異常なほどの好印象のオンパレードなのです。
「では、Aさんとは今も関係は良好なのですね?」と尋ねると、クライエントさんはだいたいこう返してきます。
「それが、そうではないんです。嘘みたいに怖い人になりました。」と。
それを聴いた瞬間、私が思うのは、「相手が良くなかったなあ・・・。自己愛性パーソナリテイ障害の方のターゲットになってしまったんだなあ・・」ということ。
最初に断っておきますが、自己愛性パーソナリテイ(NPD)の人が、そうなってしまった背景にも、様々な要因があるため、彼ら自身も被害者であることには変わりはありません。ただ、「人から賞賛され、愛され、認められ、好かれることでしか自分の価値を感じられない」という病の彼らにとっては、その自分のポジションが危うくなった時には、どんな手段を使っても守ろうとするし、それが仮にあなたを蹴落とすことで守られるとしたならば、命がけで挑んで来るのだということを忘れてはいけません。
NPDの被害に遭った人が一番辛いのは、その時周囲に居た仲間が誰も味方になってくれなかったということだと思います。これは、後々人間不信の深い傷となります。何なら、周囲から「Aさんはいい人なのに、Aさんを傷つけるなんて!ひどい!」と責められるケースもあります。不思議なくらい、何故か誰も自分の味方をしてくれないのです。
この「不思議なくらい自分の味方がいない」というのも、NPDによる被害の特徴です。被害にあった人は、自分の傷を癒すこと以上に、先ず、「自分は100%悪くなかった!」ということの証明のために労力・パワーを使うことになります。でも、考えてみてください。自分の周りに意地になって「自分は悪くない!」と言い張っている人がいたとしたら・・・。何となく嫌になりませんか?実際、本人は確かにそこまで悪くないのですけど・・・。これは二次被害となって、益々人間不信への種となって巣食っていきます。傷つけられたのは自分なのに、気づけば今度は自分がそれまで良好だった人間関係の人からさえ、疎まれ、嫌われていくのですから。
様々な学びを経て、NPDの人がどうやって周囲を自分の味方として、周到に固めていくのかがだいたいわかってきました。ここには書きません。でも、経験からデータを分析してみると、だいたい同じ方法です。
NPDの人と関わって傷を負ってしまった人は、とにかく先ず専門家を頼ってください。対象のNPDと今も繋がっている周囲の人を「私は悪くなかった」と説得しようとしても、だいたい失敗に終わるか、余計に自分が傷ついてしまいますので。
先ずは自分がからめとられてしまった「罠」についてクリアにしましょう。そして、物理的にも、金銭的にも、精神的にも解放されて、むしろラッキーだったのだといち早く気持ちを切り替えて新しい人生を踏み出すことが、相手への一番の復讐だし、あなた自身のためでもあるのです。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
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写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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