今朝、何気なく開いたX(Twitter)に、理由が分からない心身の体調不良で、仕事をやめなくてはならないかも・・という不安を訴えている方の呟きをみかけました。この方の呟きを追っていったところ、いくつかの病院にも行って診断をしてもらっているようで、病院の医師たちからは「病気ではなく、気質、HSPではないか・・」と最終的には言われる・・とのことでした。環境調整もやってみたし、薬も飲んでみたとのことですが、それでもやっぱり改善されない・・・ご本人としては非常につらい状況だと思います。
このブログでも何度も書いているのですが、病院等で診てもらって、「診断名」がつくことで、いっときは安堵感を感じる・・・これ、個人的には悪いことではないと思っています。そのおかげで、合法的に「休息」することが認められるし、それがクライエントさんのためになるのであれば、「診断名」は必要です。
ただ、この「診断名」が、かえって問題の本質から遠ざけることになってしまうケースもあるのではないかなと感じています。
例えば、「HSP」の外にも、「インナーチャイルド」、「アダルトチルドレン」、「自己肯定感が低い」、「愛着障害」、「パーソナリテイ障害」、「双極性障害」、「気分障害」、「発達障害」と言った臨床現場でおなじみの病名がありますが、昨今の研究では、これらの根っこには、原始反射の未統合が深く関係していることが分かって来ています。
『発達障害治療革命!』の著者である、田中伸明医師も、私が受講した講座の中で原始反射の統合の重要性について触れていました。
(*ちなみに田中先生の横浜の病院では原始反射へのアプローチやニューロフィードバックの治療等も行っています。)
けれど、この情報をすべての現場の医師たちが共有しているか?というとそうではなく、殆どの医師が重要視していないとのこと。
「HSP」というワードがここ7.8年で市民権を得たため、医師も口にするようになったのだろうと思うのですが、診断名として伝えられても、「だから、次は〇〇というアクションを行う選択肢がありますよ」と言える医師が少ないのだろうと考えられます。
「診断名」は、私たちの心の状態や体験を表現するための大切なツールです。しかし、”言葉”そのものが独り歩きすると、実際の問題の根本にアプローチできなくなる可能性があります。
たとえば、「HSP」というラベルは、感受性の高さや神経の繊細さを表現するために使われますが、その背景にある複雑な身体的・心理的プロセスを見過ごしてしまうこともあるのです。
同様に、「インナーチャイルド」や「アダルトチルドレン」、そして「低い自己肯定感」という表現も、一面的な切り口に過ぎません。これらの言葉が示すのは、あくまで「症状」や「状態」の一部分にすぎず、そこに至る根本的な要因—すなわち「基盤」が整っていないこと—を覆い隠してしまう危険があります。
私が危惧するのは、病院での治療に絶望してしまった方たちが、心の苦しみを和らげるために、法外な金銭を要求する宗教・スピリチュアル的なアプローチに走るケースです。
これらは本当に楽になれるのであれば、「悪」とは申しません。
しかし、その多くが、表面的なレッテルに囚われたまま、根本的な「基盤作り」が疎かになっているものであることが現実です。
自己理解や感情のコントロールの手法を学ぶ過程で、望む結果にたどり着ける人もいれば、ただそのプロセスにのめり込み、問題解決から遠ざかってしまう人もいます。
(例えば、先祖供養が足りていないことを教祖のような方に指摘され、次々と聖品を購入したりするetc...)
私自身もかつては、(神がかった領域も含め)いくつものアプローチを試みました。しかし、どれも一時的な救いに過ぎず、本当の解決には至りませんでした。それは、私の「基盤」がまだ整っていなかったからです。
私が辿り着いた答えは、まず自分の身体と心の「土台」を整えることでした。具体的には、次の2点が重要でした。
1. 原始反射の統合
幼少期に獲得した原始反射は、私たちの身体に深く刻み込まれた反応パターンです。これらが統合され、適切に処理されることで、私たちはより健全な自己調整能力を持つことができます。原始反射の統合とは、自分の無意識の反応を理解し、それを意識的に受け入れるプロセスです。この作業が、心のゆがみや不安定さを解消する大きな鍵となります。
2. 自律神経の理解と受容
自律神経は、私たちの身体の調節機能の根幹をなしています。ストレスや不安が溜まると、交感神経が優位になりがちですが、逆に副交感神経を活性化することで、リラックスや安心感を取り戻すことができます。と、ここまでは、従来の自律神経の理解ですが、ここにポリヴェーガル理論の中で述べられている、社会神経である”腹側迷走神経複合体”の理解は必須です。自分の自律神経の動きを知り、そのサインを敏感に察知し、適切に対応することが、安定した心身を取り戻すための基本となります。
この2つの基盤が整ったのち、ようやく認知行動療法が上手く機能するようになります。愛着障害の方に、なかなか認知行動療法の効果が見られないのは、その背後に、原始反射の未統合と、自律神経系の乱れがあるケースが多いからだと、これは私自身の経験を通して実感していることです。
最終的に、心の問題を根本から解決するためには、他力本願的で表面的なアプローチではなく、自ら自分自身の土台を固めることが不可欠だと強く感じています。
あなたが、もし今、何かしらの「診断名」に囚われていると感じるならば、その裏にある自分自身の基盤を見つめ直してみてはいかがでしょうか?
hanahiroinoniwa.hatenablog.com
▣3月のカウンセリングセッション予約可能日をご案内します
(土日は埋まっており不可ですm(__)m)
3月10日 午前・午後
3月11日 午後13時~15時まで
3月17日 午後
3月18日 午前・午後15時まで
3月19日 午前・午後
3月24日 午前・午後
3月27日 午前・午後(13時~14時)
hanahiroinoniwa.hatenablog.com
▣花拾いの庭 ありおりラボの過去の講座のアーカイブお申し込みはこちらから
(クライエント様以外への販売は2025年3月末まで)
すみません!3月の読書会もお休みしますm(__)m
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
ありおりカウンセリング
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
心のもやもやは、大きくなる前に話して、ケアしていきましょう^^
花拾いの庭公式LINEができました!
ご登録の方には、たったの3分ほどで、副交感神経(腹側迷走神経系を活性化)をリラックスさせ、サバイバルモードから抜ける動きをレクチャーした動画を自動でプレゼントしております。
メッセージから「食いしばり」「巻き肩」とそれぞれ送っていただくと、対応した動画が届きます!^^