hanahiroinoniwa.hatenablog.com
昨日の記事(↑)、自分自身に何かしんどさを感じた際に、自分への声掛けはまず、親しみを込めた
「どうしたの?」
から始めてみてください・・と書きました。この理由を今日は深掘りします。
愛着障害やアダルトチルドレンの方というのは、反応に一貫性のある養育者に育てられていないケースが少なくありません。
例えば、同じことをして、昨日は褒めてもらえたのに、今日は怒られてみたり、昨日は抱きしめてもらえたのに、今日は叩かれたり・・・。昨日はレストランで食べきれないほど食べさせられたと思ったら、今日は朝から晩までご飯を与えてもらえなかったり・・・。
すると子どもの自律神経系は、「生き残る」ために、反応の選択肢を緊張の下、無限に増やしていく必要が出てきます。
他人から自分に向けられたひとつの行動に対して、
「もしかしたら、相手はこう来るかも?」
「ひょっとしたら、本心はこっちかな?」
「待て待て、昨日は機嫌が良かったけど、今日の場合は違うかも?」
と、一瞬で数十個の防衛策を、脳内で立ち上げられるようになっていきます。
(これが、後天的なHSP症状の原因です。)
この緊張は、相手の自律神経系にミラーニューロンで伝わり、(無意識下で)「なんか、この人といると緊張する!不快!」と認知され、気づけば理由なく距離を置かれたり、誤解されていたり、子ども社会だと、理由なきいじめに繋がったりもしてしまう・・・。本人に悪意や落ち度などが無いにも関わらず、です。
ではヘルシーな愛着スタイルを持った子どもはどうか?と言うと、養育者からは一貫した反応を貰えていますから、
「こうしたら、他人は嬉しいんだ!」
「この場合は、こう応えれば相手も幸せなんだ!」
「そうか、こうしたら、相手は悲しいのか」
「これをしたら、相手は不愉快なんだな・・」
と言う具合に、選択肢の脳内シナプスは刈り込まれていき、実にシンプルです。過剰な緊張もありません。よって、一緒に居る相手の自律神経系(無意識)も、「この人は安全!自分の命を脅かさない人!」と判断しますから、自然と周りにヘルシーで穏やかな人が集まってきます。
ヘルシーな愛着スタイルの人達と言うのは、
社会の規範を守る=自分の幸せ・平和を保つもの
ですが、愛着トラウマを負った方たちと言うのは、
社会の規範を守れるかどうか=命の危険からどう回避するか
です。
これが、アダルトチルドレンや、愛着障害の方の緊張や、生きづらさの正体です。
では何故、アダルトチルドレンや愛着障害の方たちが、自分自身との愛着を回復させるために、
「どうしたの?」
から始めるのが良いのか?と言うと、養育者との愛着形成のベースが、まさにこの言葉だからです。
心理学者であるコフートの言う「ほど良い母親」は、幼児が発する言動に対して、「どうしたの?」という反応を精確に示すと言われています。
「どうしたの?お腹が空いているのかな?」
「どうしたの?眠いのかな?」
「どうしたの?オムツが濡れているのかな?」
「どうしたの?怖い夢を見たの?」
それが満たされることで、子どもは安心し、自分が抱いた感情を肯定することができます(自己肯定感)。そして、不安や恐怖と言うのは、いつかは過ぎ去るものであることを学ぶのです。この無数の繰り返しこそが、愛着が手続き記憶であることの所以です。
このプロセスを踏めなかった愛着トラウマを負った方は、自分で自身への愛着を育てていくより他ありません。少し前までは、一旦獲得された愛着は第二の遺伝子と呼ばれ、変更不可能だと言われていました。でも、変更可能だということが、近年、様々な事例研究によって、分かってきたのです。
自己との愛着形成にアプローチする心理療法もありますが、先ずはことあるごとに・・
「ん?何かしんどいことがあるの?どうしたの?」
この言葉を、浴びるように、自分自身にかけてみてくださいね。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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