わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

「意地悪」だと感じていたモノの正体

 

 台風一過の青空から一転、今日は明らかに秋雨の空です。でも涼しい・・(嬉)。やっと”人間らしい暮らし”に戻れるのかと思うだけで、未来に希望が湧いてきます。それぐらい、この夏の暑さは殺人的だったと思うし、天候そのものがサバイバルだったと感じています。

 

 さて、今日は昨日の記事を少しだけ深掘りしてみたいと思います。

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 

 私はこの記事の中で、

 

集団で動くことが、本当に苦手だったし、こんなことを言うのはどうかと思いますが、かなりの割合のクラスメイトのことを、「どうして、こんなにも意地悪なんだろう?」と感じていました。

 

と書きました。

 

子どもだった頃の私が、なぜ、多くのクラスメイトたちのことを「意地悪」だと感じてしまっていたのか、今は理解できます。「意地悪」の正体に、心理アセスメントを学んで気づいたからです。

 

当時、私が「意地悪」だと感じていたモノの正体・・それは「自己主張」です。

 

 

 愛着トラウマを負った子どもというのは、この「自己主張」を許されない環境で育った子が殆どです。

 

「あなたはどう思うの?」
「僕はこう思う!」
「そうなのね。OK!」
「でも、私はこう思うの。だから、少しだけ私の意見も聴いてもらっていい?」
「うん、いいよ!じゃあ、僕が思っているこの部分は絶対に譲れないので取り入れてもらっていい?
「やったー!了解!これでいこう!」

 

というやりとり・トレーニングを、養育者との間で経験出来ていません。代わりに、

 

「あなた、これでいいわよね?」
「えっと・・・」
「前にもあなたこれやって失敗したじゃない?」
「う・・うん・・でも・・僕ね・・・」
「もう、いい加減はっきりしなさい!早く決めて!時間ないの!」
「は・・い・・」
「まったく、〇〇君はいつもはきはきしてるのに・・あんたは・・」

 

・・・みたいなやり取りを繰り返して、幼児期から児童になっていくのです。
これを養育者の情緒的ネグレクトといいます。複雑性トラウマ・発達性トラウマの確固たる土台はこうして構築されます。

 

こう言う子が、幼稚園を経て、小学生になった時、面食らいます。何に?それは、意見と意見の激しいぶつかり合いに、です。

 

激しい・・と書きましたが、ヘルシーな愛着を築けている子たちにとっては、激しくもなんともありません。いつもの日常なのです。でも、愛着トラウマの子たちの自律神経系にとって、それは「喧嘩」、「闘争」、「戦争」状態、そう、サバイバルモードの発動です。

 

こうして、しんどい、しんどい、長い、長い、義務教育期間が始まります。そして、9年間が終わるころには、人生を逞しく生き抜いていく力は風前の灯・・・クタクタなのです。

 

愛着トラウマを負った子というのは、この「意見と意見」、「自己主張のぶつかり合い」を見て、「意地悪」と変換していることが多いように思います。他に語彙がないので、そう変換せざるを得ないのです。

 

そして、クラスの中で僅かながら存在する、同じように愛着トラウマを負った子や、大人顔負けの気遣いのできる稀有な子を見て「優しい子=安全な子=安心な子」と変換するのです。

 

 

愛着トラウマの子たちが、学校の先生たちが、「意地悪」だと感じる子を可愛がっているように見えるのも当然で、ヘルシーな成人期に達している教師たちにとっては、「自己主張」ができている子とやり取りする方が楽ですし、頼もしく感じるでしょう。そもそもヘルシーに発達している子たちであって、「意地悪」な子には全く見えていないのです。故に、(本当に悪質な場合を除き)現場の先生たちのことは決して責められない。

 

一方で、「自己主張」のできない子と接するには、かなりのエネルギーも要りますし、それ相応の知識だって必要です。ただでさえ忙殺されるような教育現場で、ひとりの複雑な内面を抱えた子に割ける時間など限られているはずですから・・。

 

 

 身体的虐待の元に育った子どもには、そもそもの環境支援が急務だと思いますが、良かれと思ってしていることが、情緒的ネグレクトになっている可能性については、もっと公の場で問題提起され、考えられても良いことのように思います。

 

 

「あなたは、どうしたいの?」
「あなたは、どう思う?」

 

こう言った問いかけが、「つながり」の自律神経の醸成に日々日々栄養を与えてくれていることを覚えていてください。

 

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きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。

 

写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

 

 

 

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