わたし歩記-あるき-

*心理士を目指す写真家の学びの記録*

蝋梅とプリンセスのドレス

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 午後、いつものコースを散歩していると、遠くの方から、「ベルの・・・ベル・・ベルの・・」と、亡くなった飼い犬の名前を連呼する声が聞こえるので、何かに誘われるままにそちらの方へ赴くと、そこには年のころ3,4歳と思しき女の子とお母さんが居りました。女の子は何やら空の方を指さしながら「ベルのドレス、ねえ、お母さん、ベルのドレスみたいー!」と嬉しそう。気になって女の子の視線の先を辿ると、そこには甘い洋菓子のような香りを放ちながら蝋梅の花が咲いていました。

 

 

 女の子が言う「ベル」とは、ベルが修飾している名詞「ドレス」から想像するに恐らくはデイズニーの『美女と野獣』に登場するあのプリンセス「ベル」のことでしょう。蝋梅を見て、ベルがまとっていた黄色いドレスを思い描けるだなんて、なんて豊かな感性を持っている子なんだろう!と、顔では素知らぬ通行人を静かに装いつつも、心の内では大地が揺れるほど拍手喝采のわたしでした。そして詠んだのがこの句です。

 

 

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蝋梅やベルのドレスと浮き立つ娘
(ろうばいやベルのドレスとうきたつこ)

 

 

 単なる通行人がスタンディングオベーションよろしく感動している傍らで、彼女のお母さんがどうしていたかというと、「え~?はいはい。ふ~ん、そうなんだ~。」と割と淡々としているように見えたのが、わたしには印象的でした。余計なお世話と知りながらも、「お嬢さん、とっても素敵な感性をお持ちですね!この視点は大人だって思いつかないですよ!感動しました!」とつい喉まで出かかったのですが、こんなご時世ですし、寸でのところで堪えました。

 

 

 ひょっとしたら、女の子には今回のようなことは日常茶飯事で、親御さんにしてみれば「ああ、また始まったか・・」程度のことだったのかも知れません。けれど、一方でこうも思いました。ピアノが上手、野球が上手、計算が早い、足が速い、と言った特技ではなく、目には見えず、数値化できないその子のたましいが内包しているような”天賦の才能”ほど、毎日一緒に暮らしている家族からは案外見過ごされがちなのかも知れないな、と。

 

 

 コロナ禍の中、就学前の幼児や児童と言うのは、共に暮らす家族以外の大人と触れ合う機会が以前に比べると格段に減ってしまいました。でもこれは子どもに限らず、私たち大人にも言えることで、リアルで繰り返される日常が、これまでにも増して短調になりがちなのです。「ああ、またか・・・」とふと思ってしまう出来事が起きたときには、少しだけ立ち止まって、そこに何か見過ごしてしまっていることはないかを考えるよう意識していきたいと思います。

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき

 

 

 

*さとう美雨の俳名で時々俳句を詠んでいます。
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