わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

高幡不動尊全国俳句大会の結果が届きました

 

 昨日、高幡不動尊全国俳句大会から「入選」の通知が届きました。提出ギリギリまで、”これでいいのだろうか?”という迷いと不全感に苦しんだ今回の投句でした。また、このところ、気の滅入ることが続いていたからでしょうか。今回のこの知らせは、まるで一筋の光明のように、わたしの弱った心を照らしてくれました。

 

 

 これまで俳句大会への投句に関しては、(今の自分から言わせてもらうと)割とスパっと思い切りよく提出していたなあと思います。それがこのところ、どうしてこんなにも一句を仕上げるのに”うんうん”と悶え苦しんでいたかと言えば、昨今の精神面的な要因もあるにはありますが、やはりこちらの本を読んだことがきっかけだったような気がしています。

 

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阿部先生の著書、『俳句 四合目からの出発』です。

 

もともとこの本は、地元の対面句会のメンバーで、わたしよりも句歴の長い友人が、彼女の俳句の師匠がお薦めしてくださったと言うことで紹介してくれたものでした。その時のことを書いた記事がこちらです。

 

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 

 

 

所謂、「俳句において〇〇するべからず」が歯に衣着せぬ語調で列挙されている本ですので、俳句に興味を持ってまだ数ヶ月です・・・という方は、なるべく読まれない方が良いと思います。自分の感覚を17文字の言葉にして、それを自分以外の誰かに伝え、共感し合う歓びを味わう経験を積み重ねていく時期にこの本を読んでしまうと、自分が大切にしている”感性の絵具”(とわたしは写真を教える時にも言ってます)が、ぐちゃぐちゃに濁ってしまう気がします。ちなみに俳句歴2年のわたしも、この本を読んでかなり感性の絵具のパレットが崩壊しました。^^;読んだことを(今更)後悔はしていませんが、若干、時期尚早だったかな?とも感じています。

 

 

 ただ、阿部先生の著書の中で、絶対的に「ああ、これが知ることができて良かった」と思ったのは、347ページからはじまる、『向こう側の言葉・こちら側の言葉』という章の内容です。

 

阿部先生曰く、

 

「向こう側の言葉」とは、具象名詞・具象動詞のこと。

 

「こちら側の言葉」とは、抽象名詞・抽象動詞のこと。(観念・主観)

 

そして、俳句においては「向こう側の言葉」を選ぶことで、まざまざと景を描くと述べています。

 

先生は、「向こう側の言葉」で詠まれた句の良い例として蛇笏の

 

 

くろがねの秋の風鈴鳴りにけり

 

 

という句を引いているのですが、例えばこの句を単語で分解してみなさいと言うのです。

 

すると、

 

くろがね

風鈴

鳴り

 

になるのですが、どれも読み手にとって、客観的に思い描けるものばかりであることにお気づきになるでしょうか?気になってわたしも他の名句を調べてみたのですが、見事にそうした句が多いのです。

 

反対に「こちら側の言葉」で詠まれた作例として、

 

寒月の雪夜この世のものならず

 

追憶の情緒に更けし星涼し

 

 

等を挙げ、「この世のものならず」、「追憶」、「情緒」といった単語が「こちら側」・・つまり、詠み手にしか分かっていない主観・観念的な言葉であるとし、軽々しく用いることに警鐘を鳴らしています。

 

 

 これらを踏まえて、過去に詠んだ自分の句を見直した時に、「ああ、これも・・」、「やだ、これもだよ・・」と、自分がどれだけ「こちら側」でしか俳句を詠んでこなかったのかに気づかされ、思わず頭を抱えました。^^;過去の俳句大会に投句した俳句で落選したのは、大概「こちら側」の視点で詠んだものばかりでした。そして入選した句は、曲がりなりにも「向こう側」の言葉でちゃんと詠まれているのです。それなのにわたしときたら、選ばれなかった句は選者の方の好みにたまたま合わなかったのね!などと、(基本が出来ていないことを棚に上げ)おこがましい負け惜しみを口走っていたのです。まったく、お恥ずかしい限りです・・・^^;。

 

 あ、”選者の好み”云々の件については、夏井いつき先生のこちらの動画も刺さりました。ご覧になった方もいらっしゃるでしょうか?

 


www.youtube.com

 

 

「向こう側の言葉」を意識して詠もうとするのですが、これがなかなかに難しいこと!俳句には感情を入れないと言うくらいは、理解していたつもりでしたが、まさか自分本位の形容詞や観念語も同類だったとは・・です。(涙)

 

 

そんな迷いと葛藤を経て応募した今回の高幡不動尊全国俳句大会でした。結果がついてきたと言うことは、努力の方向性は間違っていなかったということかなと受け取っていますが、もっともっと自分にとっても、読み手にとっても、言葉を味わう歓びとなる俳句を詠めるように、精進したいと今回改めて思いました。

 

 

 

 

☆きょうも最後までお読みくださり
ありがとうございました^^

 

 

写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

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