わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

「ありのままでいい」ってそう言う意味だったのか!

Sonyα7Ⅲ with Sony135㎜ f1.8 GM

 

 かれこれもう20年以上になるかと思うのですが、明確な答えが分からず、ずっと問い続けてきたことがあります。

 

それは、

 

「ありのままでいい」って具体的にどう言うこと?!

 

という謎です。今日は20年以上かかって見つけた、私なりの「答え」を書いてみたいと思います。

 

 

 様々な心理セラピー、カウンセリング、ヒーリング、自己啓発、コーチング、鑑定、そう言った自己を変容、改善するための機会を得るたびに、言われてきました。

 

「あなたは、ありのままのあなたでいいんです。どんな自分も認めて、受け入れてあげて」

 

って。

 

そう言われたその瞬間は、なんだかこの世に存在する免罪符を貰えたような心地がして救われた気分になったものです。でも、1週間も経たない内に、またこんな思いが湧いてきてしまいます。

 

「いや、そうはいってもさ。この頑なで融通が利かない(自分がそうだと信じているありのままの)自分で在るからこそ辛いんですけど?ありのままの自分で居ていいわけないじゃない。やっぱり”ありのままでいい”なんて、おかしい!間違ってる気がする!」

 

って。

 

で、どうするかと言うと、また別のセラピーやら、新手のメソッドを求めて彷徨い出す・・というエンドレスなループへ・・・・。(苦笑)

 

また、今となってはその根本的な矛盾にも気づくことができるのですが、「あなたはありのままでいい」と優しく囁いてくれたセラピストさんたちというのは決まって、「あなた史上もっとも素敵な自分になれる!」などという心くすぐるキャッチコピーを謳いながら、より高額なセミナーへと巧みに誘ってくることが多いんですよね。^^;「ありのままでいい」って言ってたアレはどうなったんだよ?!って話ですよ。^^;で、そこを突っ込むと、「ありのままでいい=そのままでいい」ではないんですよ、とかなんとか論破されちゃったりしてね。うん、あったなあ・・。^^;

 

 

でも、その矛盾に一番気づいているのは、当事者本人だったりしますから、脳内の認知の矛盾を解消するために、「そうか!まだまだわたしは”ありのまま”じゃなかったんだ!努力が足りなかっただけなのね!この○○講座を受ければ、今度こそ自分が理想としている究極の”ありのままの自分”になれるはず!!」と自分の脳を騙して、セミナー課金へとまっしぐらに突進していくわけです。

 

 

 

「ありのままでいい」って具体的にどう言うこと?!

 

 

 

この答えを解く鍵となったのは、愛着トラウマ治療の基本モデルである、構造的解離の理論でした。

 

詳しく知りたい方は、以下にご紹介する本をぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

構造的解離の理論では、そもそもひとりの人間の中には、幼少期に接した養育者との関係(愛着関係)の数だけ、複数の副人格(パーツ)が存在していると考えます。それぞれのパーツは、彼、または彼女の主格のシステムが、安心・安全に生き抜くために、最善の反応を選択します。それが成功すると、パーツにとって”成功パターン”として学習され、人生を通じて延々と主格システムに組み込まれ、運ばれていきます。

 

 

IFS(内的家族システム療法)では、まずセラピーの基本理念として、すべてのパーツを歓迎します。そして、すべてのパーツは、変わることも、退居することも要求されません。ありのままで存在していて良いのです。その代わり、すべてのパーツの声を聴き、そのパーツが負ってきた役割を理解し、感謝し、重荷を下ろし、他のパーツとの対話を可能にしていくスキルと方法を、セラピストが治療者というよりは、水先案内人・ガイドとなって、共に学んでいくのです。

 

 

このIFSのパーツエクササイズを、講座やセルフで繰り返し、時間をかけて続けてきたある日、はっと気づいたのです。

 

自分という存在が、視覚的に認識できる「ひとり」の人間だと考えていたから、「ありのままでいい」という概念に矛盾が生まれてしまっていたんだ!と。

自分というシステムは「パーツ」という複数の人格で構成されていて、それらひとつひとつに、それぞれの性格や好みや行動様式があり、彼らの”ありのまま”を変える必要はなく、ただ、主格のシステムが、より生きやすくなるためには、対立するパーツ同士の争いや葛藤を軽減させる必要がある。だから、主格となったわたしが、全パーツとのコミュニケーションスキルを、まるで親が子供を育てるように、一歩一歩、積み重ねていけばいいのだと。

 

 

つまり、「あなたはありのままでいい」という時の「あなた」とは、その人のパーツ(複数の副人格)に対して用いられるべきもので、主格のシステムそのもの(所謂その人全体)だと考えるから、おかしな矛盾が生じているというわけです。

 

 

先日、たまたま精神科医の杉山登志郎先生の論文、『自我状態療法―多重人格のための精神療法』を読んでいたのですが、同様の指摘が書かれており、なるほどと思いました。

(以下に論文のリンクを貼っておきます。)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/73/1/73_62/_pdf/-char/ja

 

 

いまもし、

 

 

「あなたは、ありのままのあなたでいいんです。どんな自分も認めて、受け入れてあげて」

 

と、告げられ、一時は心が安らいだものの、なんだかモヤモヤがぬぐえない・・という方がいらっしゃるなら、

 

ありのままのあなた

 

 

の捉え方を変えてみてください。そして、そのモヤモヤに具体的にアプローチする方法が、実はもうあるのだということを、知って欲しいなと思います。

 

 

 

 

☆きょうも最後までお読みくださり
ありがとうございました^^

 

 

写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

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