わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

何故、父はこうなってしまったんだろう?

Fujifilm X100V

 

 先週末は父の介護のため、実家に帰省していました。
8月、退院する少し前から少しずつ顕著になってきた認知症状。実は退院時の臨床心理士の見立てでは、「認知症ではない」という評価が下されていました。恐らく医師も同様の診断だったのでしょう。嚥下状態が悪いのも、足がしびれるのも、よだれや鼻水がやたら出るのも、食欲不振だったり、夜中に暴れる、異常な抑うつ状態と、愚痴や不満を感情のままにまき散らすのも、ガンの進行によるもの、人格に由来するものと見なされていました。

 

 ただ、この判断に唯ひとり疑問を呈していたのは私です。「何かがおかしい?」と思いました。わたし自身が高橋和巳医師のもとで心理アセスメントを学んできた中で、高次脳機能障害についても詳細に学んでいたからでした。

 

 認知症というと、大概の方がアルツハイマー型を思い浮かべると思いますが、認知症には他に、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭葉型認知症があります。

 

アルツハイマー型認知症とその他の認知症の大きな違いは、初期には記憶障害が見られないということです。むしろ、記憶ははっきりしている場合が多く、だからこそ、知識の浅い医師や、臨床経験の未熟な心理士には見逃されやすいと聞いていました。

 

 医者と言うのが、素人がしたり顔で意見を言うのを好まない生き物であることは、過去に医療現場で働いた経験もありますので重々承知していました。ですが、正しい見立てがなければ、正しい医療はないのです。関係性が悪くなることは二の次で、私は医療サイドにその旨を伝えました。

 

 一度目、無視です。ああ、予想通りだよねと思いました。医者なんて残念ながらそんなものです。高橋先生がむしろ超稀有な医者なのですから。でも諦めなかった。二度目、訪問看護の看護師経由で進言。ここでようやく、眠剤が処方されはじめました。やっとです。でも、そんな対処療法でどうにかなるものではありません。

 

 そして8月の終わり。やっと父の症状が認められました。今は投薬を始めていますが、遅いんだってば!!もう、ほんと、怒りしかない。地方医療でなければ、もっと違った展開になっていたのでしょうか?今更病院を変えるのも父にとっては不都合ばかりなので諦めましたが、いったいこの国にはどれほど患者に親身になってくれる医師って存在するんでしょうか?呆れてものも言えません。かねてから渦巻く医療現場への不信感がもはや天井を突き抜けてしまいました。

 

 父の症状はかなり進行しているのでしょう。元気な時から難しい人でしたが、救いのないほど困った人になりました。

 

 ひとりで居られないのか、常にベッドサイドに母か妹を侍らせています。眠ったかな・・・と思いその場を離れるともうダメ。呼び鈴を押して、少しでも来るのが遅いと暴れます。買い物には妹が車を運転していくのですが、場所によって制限時間が決まっており、その時間を過ぎて帰ってくると、「俺を一人にしてー!」と言ってキレるのです。そのくせ、「お父さんひとりにかかりきれないよ」と言うと、「どうしてそんな風に虐めるんだー!」と泣きわめきます。帰省中、夜中に大声が聴こえるので、どうしたのかと思ったら、父が足をばたつかせながら、「南無阿弥陀仏ーーー!」と絶叫していました。もうここまで来るとカオスです。

 

 レビー小体型認知症では統合失調症の症状に近いものが出るそうですが、まさに・・・という感じ。昼も夜もなくなって、プライベートが一切なくなって、母と妹は枯れた花のような風貌になっていました。特に母は骨と皮だけになっていて、あと少しで体重が危険水準に入ってしまいます。抗うつ剤を処方されているようですが、睡眠不足で自律神経が乱れてしまったことが要因なのでしょう。体重がいっこうに増えず、むしろ父より母が先に逝ってしまわないかと心配です。

 

 帰省している間に、母が髪を染めたいと言うので、その間、父に付き添って足を揉み続けました。髪を染めるってものの40分もあれば出来ることですが、その40分の確保が現状難しいのです。

 

 妹と買い出しに車でスーパーに行きました。道中コスモスが綺麗に咲いていました。「少し降りて、コスモスでも眺めよう?そういう時間大事だよ?」と促すと、「久しぶりに外の景色見た気がする・・・」ってしみじみ言われた時には、やりきれなかった。で、帰宅すると父はかんかんに怒っていました。「スーパーなら〇分あれば帰ってこれるはずなのに、遅い!」って叫んでいました。そういう神経だけがどんどん研ぎ澄まされていて、空いた口がふさがりません。

 

 近所に保育園があるのですが、そこから昼時に漂ってくる給食の匂いが臭いと言って、部屋中の換気扇のスイッチを切らせ、布で覆わせてみたり・・・。 

 

 もう、列挙したら切りがないのですが、父はどうしてこうなってしまったんだろう?と、ただただ悲しくて仕方がありません。

 

 

 来月からは少しまとまった時間、実家に帰省しようと思っています。といっても、私にだって生活や仕事があるので、十分な時間だとは言えませんが。でも、母をひとまず現状から救わなければなりません。妹だって未だに仕事が出来ていないわけで、この先生きるための行動をしなくてはいけないのですから。

 

 本当は父が施設に入ってくれるのが一番良いのだと思います。でも、意識がしっかりしている今は無理。父なのに、家族なのに、皆思ってはいけないことを、胸の中でふつふつと抱きながら、終わりの見えない終末期を今日もどうにかやり過ごします。

 

 

 同じように、人知れず頑張っている方もいらっしゃるのでしょうかね・・・。
あなた一人ではありません。その胸に秘めている罪悪感も赦してあげて欲しいと願います。

 

 

きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

 

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