「もっと自分を大切にしないと・・・」
そうアドバイスをもらっても、具体的にいったい何をすればいいの?とずっと思っていました。でも、それを言っている本人は、あたかもそれが世界中で一番簡単なことで、当たり前のことなのよという口ぶりなので、ますます混乱してしまいます。
だいぶ経っていろいろ知識として学んでから、ヘルシーな愛着の元に育った方にとって、「自分を大切にする」というのは、相手から理不尽な扱いを受けた時には正当な判断で「怒って」良いし、あまりにも無理難題を突き付けられた時には、「拒絶」してもいいし、相手の言ってることは重々承知だけれど、自己責任の元に「背いても」良いことらしいことだと知りました。
ただ、それらは全て、もし自分がしてしまったら、見捨てられて、挫かれて、突き放される行動そのものでした。
そう、私にとっての「自分を大切にする」というのは、相手から見捨てられないように、辱められないように、貶められないように、突き放されないように、「相手の顔色を窺う」ということでした。
つまり、ヘルシーな人達が、「自分を大切にしていない」行動こそが、私にとっての「自分を大切にする」だったのでした。
だから人から「もっと自分を大切にして」というアドバイスをもらっても、ピンと来ないどころか、「もう十分それ、やってきたんだよ。これ以上、どうしたらいいの?」という泣くに泣けない悲鳴となって全身を蝕むばかりだったのです。
先ずは、自分はもう十分に「自分を大切にする」をやってきたんだということを、受け止めていくしかないのです。頑張ってきたのです。その上で、その方法は、残念ながら、違っていたんだということを、頭ではなく、身体感覚で教えていってあげるより他ない。
愛着問題の解決が難しいのは、最初の安心安全の土台が「マイナスからのスタート」で、それを先ずは「ゼロ」に戻さなければいけないから。
実際は、この「ゼロ」までの過程で、何度も何度も、行きつ戻りつし、せっかくゼロに近づけたと思っても、すぐに奈落に落ちてしまうのですけど。。
この時に、もうこの世に生きていたくない!と絶望してしまう人が一体、どれだけいることでしょう。
ヘルシーな方からの「自分をもっと大切にね」というアドバイスが、真綿のように自分を締め付けて来て、羨ましいほどの輝きに、身動きが取れなくなってしまったり・・・。
せっかくのアドバイスが生かしきれなくて、相談できる人が、世界からひとり、またひとり・・と減っていってしまうような孤独に、部屋の隅、たったひとりで震えている人もいるでしょう。
楽しそうな人たちの輪から、自分の影だけがどんどん薄くなっていくような恐怖に怯えている人もいるかも知れませんね。
もし今、日常の中で、そうするより他なかった「自分を大切に」を必死にやり続けて、どうにもならなくなっている人がいるとしたら、ここにその歯がゆさを、知ってる人間がひとりでもいることを、覚えていて欲しいなと思います。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
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写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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