わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

消したいアイツ

Fujifilm X100V

 

「あの人さえいなければ」
「アイツさえいなかったら自分の方が~~」

 

 愛着不全や愛着の傷を負った方と言うのは、過去に何度か、こんな状況を経験してきたと言う方は少なくありません。

 

 あれは大学生の頃でした。同じサークルにIさんという同級生がいました。Iさんは、見た目はどちらかと言えば地味な方で、華やかな美人と言うタイプではありませんでしたが、人の心の痛みによく気が付く、気配りが上手な優しい女性でした。そのせいか、男女関わらず後輩からは慕われ、先輩からは可愛がられ、どこへ行っても、何をするにも引っ張りだこでした。もちろん、私もそんな彼女が大好きでしたし、一緒に旅行をするくらい仲良しでした。

 

 でも、それは表面上のこと。内心では彼女と一緒に居れば居るほど、自分が惨めに感じられることの方が多かったのです。例えば、私が気になっている先輩が、あるイベントを開催するのに、サポート役にIさんを選んだことがありました。Iさんの働きぶりは素晴らしく、そのことを先輩が手放しでほめるのです。でもIさんはそれを自慢するどころか、謙虚に「先輩のおかげです!」なんて言ってのけるのを聞くたびに、そこに自分の居場所はどんどんなくなっていくような気がしました。そして、こう思ったのでした・・・

 

「あの人さえいなければ」
「アイツさえいなかったら自分の方が~~」

 

 

本当はそんな醜いことを思いたくないのに、Iさんを消し去るボタンがあれば今すぐ消してやりたい!と何度思ったことか・・・。

 

 

 考えてみたらこれは一例で、私の人生には、折に触れてIさん的な人が必ず登場し、そのたびに、自分が貶められていくような気がして惨めで、私はその場に居られなくなって、自分から大切な場所を次々切り捨ててきたように思います。

 

 

 あの頃は、自分が大切だと思ったり、大好きなのにも関わらず、何故、その人と一緒に居ると自分が惨めになって、離れたくなってしまうのかが分かりませんでした。

 

 

 今はそれが、自分の神経系のクセ、型のせいだったのだとよく分かります。

 

 

 

 愛着障害・愛着不全の方というのは、幼児期から「支配する・支配される」、「食うか・食われるか」という対等ではない人間関係を当たり前として育ちます。すると神経系はどうなるかと言うと、

 

「闘う・逃げる」の交感神経と、「凍り付く」の副交感神経の背側迷走神経複合体

 

を主に使うことをデフォルトとして育ちます。

 

 

 「自分よりも別の誰かが好まれる」という状況に対峙した時でも、ヘルシーな愛着を持っている人と言うのは、「あ、そうなんだ。でも、私は●●の場では大事にされているし、自分を気に入ってくれている人は他にもいるし!」と、物事を相対的に眺めることができます。一方、愛着の傷のある人と言うのは、「選ばれない=捨てられる=命の危険」と自律神経系のスイッチが有無を言わさず自動で入ってしまいます。

 

そうなると出番になるのが、

 

「闘う・逃げる」の交感神経です。

 

これが働くとどうなるかと言うと、「こいつと闘わなくては!」と思うか、あるいは、「ここに居ると自分は殺されてしまう。逃げなくちゃ!」となるわけです。対象のことを頭では好きだと思っていようが、自律神経系はそれとは関係なく反応してしまうのです。そう、すべては自分自身を守るために。

 

 

 また、愛着不全の方と言うのは、健全(ヘルシー)な「ライバル関係」を築くこと、持つことが難しいのではないでしょうか?私自身、とても苦手でした。そんなしんどい関係、絶対に持ちたくない、欲しくないと思っていました。でも今となっては、なんてもったいないことをしてきたんだろうって思っています。

 

 健全な「ライバル関係」って、自分自身を最短最速で磨くのにこれほど良い存在はいないんですよね。そして案外、同じ悩みを唯一共有できる同志だったりもします。どちらかが先に同じような壁にぶつかっているので、話をしただけで解決することも多々あります。これほど楽ちんなことはない!

 

でも以前は、「相談する=負けを認める」ことだと思っていたので、人に質問したり頼ったりすることは、「弱みを見せる=食われる=死」だと認識されていたんですね。そう、自律神経系の自動反応ですね。

 

 

結局、自律神経の反応をセラピーで少しずつ変えていったことで、脳の前頭葉の認知プロセスもゆっくり安全に書き換わっていった・・・そんな感じでしょうか。

 

 

で、書き換えるにはどうすればいいのか?というと、やはり「安心・安全」の下で自分自身を受け止めてもらう協働調整経験を地味に積み重ねていくことしかないのだと思います。ひとつは他人から、もうひとつは自分自身(SELF)によって。

 

 

きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

傾聴・カウンセリングお申込みフォーム
(60分 3000円)

 

hanahiroinoniwa.com

 

写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

 

写真を眺めてほっと一息^^  
写真家 さとうみゆき公式HP

 

miusato.com

 

 

Harmonic Photo Lessonベーシックのご案内

Harmonic Photo Lesson(アドバンス)のご案内