今日の午後、父が退院して5ヵ月ぶりに自宅に帰ってくることになりました。昨日は今後の生活で必要となるベッド、ポータブルトイレ、お風呂用の椅子、車椅子用の玄関スロープが届き、また主な生活スペースとなる一階には天井と床に手すり代わりのポールが所狭しと張り巡らされ、さながら”介護のジャングル”のようだと電話口の母は零していました。
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先日の記事で書きましたが、母に「仮面うつ病」の診断が出て以来、毎日30分~1時間ほど意識して電話で話を聴くようにしています。お薬を飲んでいるので身体的には改善が見られていますが、そもそも「仮面うつ病」は心の不安や葛藤が意識化されないために身体症状となって表れているので、母自身が自分の心のしんどさを認めない限りは、再び症状となる可能性が高いのです。話すことで、できればほんの少しでも自分の心の声を自覚するきっかけとなればと思ったのです。
昨夜、件の”介護のジャングル”の話をひとしきり聴いていたときのことでした。母が不意にこう呟いたのです。
「わたし、お父さんが退院して家に戻ってくるの嫌だ。わたしが何をしたって我が儘で絶対に文句言うし、気に入らないだろうし、そのたびにご機嫌とるのヤダ。そうなるの、お母さん、わかってるんだ。もうそうなったら、お父さんなんて放り出して家から出たい!」
これを聴いた時、「あ~、やっと本音が言えた。良かった!」と思いました。そして、これがここ数日母の中に巣食っていた、抗いきれない葛藤だったのだと分かったのでした。
母は10年ほど前には寝たきりだった姑の介護も完璧にこなし、ご近所や親戚からは「良い嫁」、「完璧な嫁」と評判でした。そのまま今度は半身不随になった夫に尽くす「献身的な妻」のイメージを強化してきた5ヵ月だったと思うのです。でもそんな外側のイメージとは裏腹に、心の中は近い将来遺されてしまう不安やこれまでの父との関係性から来る不全感で混乱し、意識の力ではどうすることもできなくなっていたのでしょう。
第三者へのカウンセリングだとしたらこれはご法度だと思いますが、母の本音が出てきたところで”娘”に戻り、一緒に「父の悪口」を飽きるまで話して電話を置きました。まだまだ”遠隔介護”体制の状況が続きそうな気配なので、父と母、各々にどんな関わり方をしていけばよいのか、これまでに学んだことや経験を活かしつつ介入していこうと考えています。
家族システム論をつい先日学んだばかりですが、家族の中で発生する問題は、家族の構成員ひとりひとりのそれぞれの”心の課題”が全方位複雑に絡み合って表出するのですね。事件はいつだって現場でおきている。家族の問題はとかく境界線を引けずに巻き込まれてしまいがちなので、逢えない、離れているからこそをプラスに変えられるようにしていけたらと思っています。
きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき