わたし歩記-あるき-

*心理士を目指す写真家の学びの記録*

今月の100分de名著「災害を考える」

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 先週から始まったNHKの「100分de名著」、ご覧になった方はいらっしゃいますか?
今「読む、書く」のゼミでお世話になっている若松英輔さんがナビゲーターをしていることもあり、年明けからずっと放送を楽しみにしていました。

 

 

 全4回を通して扱うテーマは「災害を考える」です。この時期、10年前の東日本大震災に思いを馳せない方はいないでしょう。けれど、あの日に対する個々人の「時間軸」は、この10年で少なからず変わってしまったことは否めません。わたし自身、東京に暮らし、未だかつてない揺れと、その後の日々の大混乱を経験したとは言え、やはりこうして以前と変わらぬ暮らしをしている内に、記憶は徐々に風化してきてしまっています。東北で被災された方たちの10年のそれとは、まったく違ったものであることは明らかでしょう。

 

 

 

 

 いま、もう一度、改めてあの日を捉えなおすこと、そして、その捉えなおした視点でこれからを生きるためにも、今月の「100分de名著」は大変意味があると言えます。

 

www.nhk.or.jp

 

 

 第一週目(先週)は物理学者であり俳人でもあった寺田寅彦の随筆、『天災と日本人』を通して、「自然とのつながり」を取り戻すと言うテーマでの思索がスタジオで繰り広げられました。

 

 

 

 

 寺田は「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害はその激烈の度を増す。」と著書の中で述べているのですが、驚くべきはこれらの思索が昭和10年ごろにはすでに書かれていたと言うことです。そして寺田の発するメッセージは、少しも古びることなく、2021年を生きる私たちに深々と響いてくる。いったい、人間の成長とは、科学の進歩とは、何だったのだろう?と首を捻らずにはいられません。

 

 

 個人的にわたしが興味を持ったのは、寺田が物理学者でありながら、俳句を通して文学にも存分に帰依していたことです。寺田は我が国に暮らす限り、地震との付き合いは切っても切れないことを諦観した上で、地震による「現象」と「災害」を区別して考えなければいけないと説きます。「現象」の方は人間の力ではどうにもならないけれど、「災害」の方は、注意次第でどれだけでも軽減することができる、そして、「自然とのつながり」を取り戻すことこそが、私たちが自然を支配、コントロールによるのではなく、共存する力をあげると言うのです。だからこそ、寺田は俳句を詠むことで、自然とのつながりを意識しようとしていたのではないでしょうか。

 

 

 わたし自身、大自然の中で暮らしていると言うわけではないし、エコ生活に精通しているのでもなく、田畑仕事をしているわけでもありません。せいぜい近場の高原や山にハイキングにいく程度です。しかしながら、それが都市近郊に暮らすあらかたの人々の平均的日常でしょう。けれど、そうした活動以外にも、俳句の季語等を通して日本特有の風物につながることや、写真を撮ること、そして、旬の食材をいただくことや、月を眺めたり、風の音を聞くことからだって「自然とつながる」ことは誰にでも始められるのではないでしょうか?寺田の在り方には「いま、自分ができる方法で自然とつながれ」と言う強いメッセージを汲み取れるように思うのです。

 

 

先祖の話 柳田国男コレクション (角川ソフィア文庫)

先祖の話 柳田国男コレクション (角川ソフィア文庫)

  • 作者:柳田 国男
  • 発売日: 2013/07/11
  • メディア: Kindle版
 

 

 

 今夜放送の第2回では、柳田国男の「先祖の話」が登場します。テーマは、「死者とのつながり」です。わたしが今年大学の講義で選択しているグリーフケアや死生学とも直接関係のあるテーマですので、じっくり視聴したいと思っています。(そして、第4週目の池田晶子さんの回が待ち遠しいです。)

 

 

 

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき

 

 

 

 写真を眺めてほっと一息^^

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