わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

バランスのとりかた

f:id:miyuki_sato:20210303111859j:plain

 

 

 1月の末、初の遠近両用メガネを誂えました。

↓  ↓  ↓

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 

 

これで撮影をはじめとする日常生活での「みる」と言う営みが格段に楽になると大きく期待を寄せていたのですが、いざ仕上がって手元に届いたメガネを使い始めてみると、何かしっくりといかないのです。何というか、申し分なく見えているのにも関わらず、頭がものすごく疲れてしまう。

 

 

 わたしの視力は左が1.5、右が0.4の所謂「がちゃ目」で、左目はかなり遠くにある看板の小さな文字まで見ることができます。でも、近くは見えない。右眼はスマホの画面や本の文字など近くはそこそこ見えるけれども遠くがからきしダメ。それゆえ、メガネ屋さんでの最初の調整の時、わたしは両眼ともできるならば”同等程度”に見えるようにしてほしいと依頼をしました。お店の方も、わたしの意図を最大限に汲んでレンズを選んでくれたはずでした。ところが、そうして出来上がってきたメガネの使用感は予想とはまるで違うものだったのです。

 

 

 納品の翌々日、わたしは再調整のために店舗へと赴きました。今度は前回とは違う店員さんが対応してくれることになりました。周りの店員さんの彼女への態度からして、かなり年季を積んだ、偉い人なのだと察しました。事の経緯を話し、前回の店員さんに落ち度はなかったことも補足しつつ、でもどうしてもメガネがしっくり来ない、ただその理由が素人のわたしには分からないのだと告げると、店員さんは前回の検査の時と同様に視力を測った後、データを見ながら無数の丸レンズが入った箱から、気になるレンズを試着フレームにとっかえひっかえしてはわたしにかけるよう促しました。その動作を10分ほど繰り返したころでした。

 

 

「じゃあ、これはどうでしょうか?」

 

 

一瞬、メガネをかけているかかけていないか分からない軽さが眼の奥を貫いてゆきました。

 

 

「すっごく見えてるー!って感じはしないのに、あれ?なんだか、楽ですね。」

 

 

そう応えると、ふむふむとどこか納得の表情を浮かべ、推理小説のラストシーンよろしく彼女はこう説明し始めました。

 

 

「前回の調整では、右も左もどちらも同程度に”良く”見えるように調整をしていたんでしたよね?」

 

 

はい、その通り。わたしは出来ることなら左眼の1.5の視力に右眼の0.4が追い付いてバランスすることを望んだのです。更に彼女は続けます。

 

 

「眼と言うのは、当たり前ですが、像を両目で捉えています。お客様の場合は、左は遠くまでよく見えて、右目はよく見えない。右は近くはよく見えるけど、左目はよく見えない。言ってみれば、長年の間、遠くは左だけで、近くは右だけで見てきたんです。」

 

 

ここまでは、前回の店員さんからも聞いていた話です。

 

 

「ですので、両目で見ると言う経験自体が眼にとっては久しぶりと言うことになります。そのような方の場合、単に視力が良い方の眼にそうでない方の眼の視力を合わせても、目は心地よく機能しないのです。ではどうすれば良いかと言うと、左目の度数は敢えて下げます。すると裸眼の時よりも若干遠くは見えにくくなります。でも、それで大丈夫です。逆に右目の度数は少しだけ上げます。これまでより遠くがほんの少しだけ見やすくなった程度ですが、それでいいんです。両目視力にすると1.0ぐらいの見え方ですが、お客様の目には、これが一番楽なはずです。」

 

 

 先ほど、調整が終わったメガネをお店に行って受け取って早速かけてみると、前回とは嘘のように視界が凪ぐのを感じるではありませんか。店員さんが言っていたのはこのことだったんだなと腹落ちしました。

 

 

 自分の身体だもの、欲を言えば「良い方」にバランスしたい。いや、そうあってしかるべき!その想いがかえって本当の意味でのバランスを欠いてしまったのかも知れません。過ぎたものは思い切って手放してみること、また、及ばないと嘆いていることは、ほどほどで良いと手を打つこと。その間(あわい)に生まれるバランスもあるのだと、両眼に教えられた気がしました。

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき