わたし歩記-あるき-

*心理士を目指す写真家の学びの記録*

”共通言語”を知ることの大切さ

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今週火曜日に転院した父は、
早速その日の夜から
放射線治療が始まったとのことでした。

 

幸い、今のところ副作用も出ておらず
順調に治療計画が実行されているようですが、
今度の病院では個室ではなく大部屋のため、
日頃から神経質だった父には、
身体が不自由なことはもちろん
そちらも地味に堪えているようでした。

 

以前の病院では母にだけは電話で
病院のごはんが美味しくないだの
今日もうんちが出なくて苦しいだのと
愚痴を吐けていたのに、
大部屋で他人の耳が常にそこにあるため
周囲を気遣って、おいそれと
本音を吐き出すこともできない・・・。
これでせめて身体の自由が利けば、
部屋を出て電話をかけることだって
出来るのでしょうけれど
下半身が麻痺しているのでそれもできない・・・。

 

電話口の母も、
「最近、お父さんから電話が来なくなっちゃって・・」
となんだか不安な様子。

 

 

父にしてみたら、電話をかけたところで、
本当に話したいことは言えないし、
話せても同部屋の人に聞かれていると思うと
ストレスで気が引けるのでしょう。
だったらいっそ、
「かけない方がいい」と結論づけてしまう心の動き、
父の性格をよく知っているからこそ、
何となく予想がつくのです。
そしてきっといま、「孤独」の底に
身を沈めているであろうことも・・・。

 

とにかく今、父の「孤独感」を少しでも
和らげるためにと、2日に一度、
手紙を書いて送っています。
(母が着替えを取りに病院に行くタイミングで
届けてもらっています)
内容は、「梅が咲いたよ」とか、
「ベルの四十九日が終わったよ」とか、
本当にたわいもないことですが、
「あなたをいつも思っているよ」
「あなたの存在はちゃんと家族の元にあるんだよ」
「心配しているよ」
を形にして届けることが、
逢いに行けないわたしに出来る
唯一のことだからです。
そして、これは、父が自宅に戻り、
長く続く介護生活になった時にも、
私たち家族に安心して甘えたり、
委ねを許せる心を醸成する
大切な準備期間であるようにも思うのです。

 

 

また同時に、「前立腺がん」と言うものが、
如何なる病なのか、どんな治療経過を
辿るのかについて少しずつ学んでいます。

これは、今後起きてくるであろう出来事を
ちゃんと知っておくと言う意味もありますが、
それ以上に父との「共通言語」
増やすためでもあります。

 

 


昨年の12月、金剛出版が主催した、
信田さよ子先生と倉田めばさんによる
こちらのオンライントークイベントに参加しました。

kongoshuppan201202.peatix.com

 

 

 信田先生と倉田さんはお二人とも、
「依存症」と深く関わり、
その現場で働くエキスパートですが、
この日、わたしにとり、
最も心に響いたやり取りは、
お二人が「依存症」でいま苦しんでいる
クライエント(当事者)たちのことを
その事象の「玄人(くろうと)」
呼んでいたことでした。
そして依存症の治療に当たる
心理職の人間たちは
もっと「玄人」たちと交わり、
「共通言語」を知ったうえで、
会話、理解する必要があると主張されたことでした。

 

 

信田先生曰く、アルコール依存症の
ピアグループの場などに、
昨今資格を持った心理師(士)たちが
よく見学に来られるそうなのですが、
彼らは大概壁側に大人しく立ち
当事者たちを遠巻きに眺めているだけで
積極的に話しかけようとしない場面が
散見されるそうです。
これが非常にもったいないと。
何故なら、彼ら(アルコール依存症の人)は
アルコール依存症を知る
一番の専門家(玄人)であり、
彼らが使っている言葉(共通言語)を
聴き、理解し、自分も使うことで、結果、
それが現場でのカウンセリングを促進させる・・
と言うのです。

 

日本語が全く通じない外国へ
ひとりで行かれたことがある方なら
信田先生の仰っている意味が
理解できるのではないでしょうか?
自分がものすごく困っていたところに
不意に日本語を話せる人が通りかかった時の
安堵感と連帯感。孤独が癒されてゆく感じ。
その人になら、どんな話でも聴いてもらいたいと
心を開きたくなるあの感じ。

 

 

グリーフを抱えた方たちには、
彼らの共通言語が、
癌の治療をしている方たちには、
彼らの共通言語が、
他にも、あらゆる領域に渡って
専門家(玄人)たちが持っている
共通言語があるはずです。

 

おそらくそれらは
地球上で話されている言語の
何倍もの数になるでしょう。

 


けれどそれらは同時に、
国や性別、年齢を軽く超えた
共通言語でもあるはずなのです。

 

 

この世界で暮らす誰もが、
何かの苦悩や傷の「玄人」で、
その「玄人」たちの声に耳を傾け、
共通言語を知ることで、
その人たちと本当の意味で
血の通った会話ができるようになる。



先ずわたしは、
父との「共通言語」を探すことから始めます。

 

 

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき