わたし歩記-あるき-

心と向き合う写真家の学びの記録*

1年ぶりの帰省、そして父の悲嘆

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 今日の午後、久しぶりに帰省した実家から東京に戻ってきました。道中は爽やかな秋晴れに恵まれ、幸せなひとときでした。

 

 

 1年ぶりに再会した両親とは、どちらともなく両腕を広げて抱き合いました。もちろん普段はそんなことはしないのですが、言葉にしようとした想いが納まりきらずに、気づけば飛び越えてしまっていたのだと思います。

 

 

 退院から4か月経ち、53㎏まで落ちた父の体重は3㎏戻り、やっと56㎏になっていました。もともと73㎏あった人ですから、3㎏戻ったからと言っても、その姿は変わり果てたといっても過言ではありません。ただ、日々のリハビリの成果もあり、歩行器に身を預けながら、車椅子に乗り移ったり、隣の部屋まで水平移動する様子を、初日は得意げに披露してくれました。それだけで、わたしも妹も安堵の気持ちも相まって、嬉しかったのでした。

 

 

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 ところが、2日目の朝、わたしと妹が見ている前で、あっと驚く出来事が起こりました。なんと!父が階段を上り、2階への登頂を成功させたのです!

 

8月の末にすったもんだをして、階段に手すりをつけたことは、下記の記事にも書いた通りです。

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 

 

最初は、5段上がるだけでも精一杯、30分以上かかっていたというのに・・・・。それが、この2か月、(リハビリの担当者の方曰く)スポーツ選手並みの努力で、父は15段を5分ほどで昇れるようになったというのです。最後の一段を踏んだのを見た時には、胸がいっぱいになりました。

 

 

 でも、嬉しい時間ばかりではありませんでした。

 

滞在3日目の夕方。ベッド越しに腰を掛けて父の話を聴いていた時のこと・・父が、こんな風に語り始めました。

 

 

「まさか、こんなことになるなんて、思ってなかった。今までせっかく積み重ねてきたものが、全部ゼロになった。こんな情けない父親になるはずじゃなかった。何の役にも立てない、人の世話になりっぱなしで、迷惑ばかりかけて、生きている価値がない。いっそ死のうと思ったことが何度もあった・・」

 

 

この父の悲嘆(グリーフ)を、おそらく、心理学とグリーフケアを知らなかった頃のわたしなら、受け止めきれなかったと思います。ただただ、ショックを受けて、父にどう接していいか、分からなくなり、ごまかして、話を逸らしてその場から逃げたか、泣いて怒って崩壊していたかのどちらかだったろうと思います。

 

 

わたしは言いました。

 

「お父さん、あのね、お父さんは、わたしにとって、今も昔も、本当に申し分ないくらいの立派な父親だと思っているよ。でもね、わたし、ひとつだけ、お父さんから、学べていなかったことがあるの。それはね、”人にどうやって甘えるか”、”人にどうやって助けてを求めればいいのか”なの。お父さんは、いつも”人に迷惑をかけてはいけない”と言ってたよね?それは、正しいと思う。だけど、そうやって生きてきたら、いつの間にか人に迷惑をかけないようにしてきたわたしの周りからは人が居なくなって、わたしは寂しい人になってしまっていたの。どうしてなんだろう?わたしはちゃんとやってきたのに・・って、分からなくなって、心の勉強をしたんだよ。そうしたら、少しだけその意味が分かって来たの。あのね、お父さん、わたしは、一人で何でも出来ていた頃のお父さんよりも、こうやって、いろんな人の手を借りて、”ありがとう、ありがとう”って頭を下げているお父さんのこと、今までで一番尊敬しているし、大好きって思ってるよ。だから、生きる価値がないなんてこと、絶対にないよ。今、一番、お父さんは、私が知りたかったことを教えてくれているよ。本当にありがとう・・・。」

 

 

父は、黙って聴いていました。わたしも、しっかりと、気持ちを伝えられました。なんだか、変な話、もう悔いはないと思えるくらい、心がすっとしました。そして、わたしの心の中に、これまでどっしりと居座っていた大きな氷の塊が、じゅわっとほどけていくのを感じました。

 

 

 

 

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき

 

 

写真を眺めてほっと一息^^  

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