この半年ほど、グリーフ・トラウマ、NPO法人etc、様々な領域における「支援のカタチ」を講座や現場視察などを通して学ばせてもらっています。
個人的に(わたし自身が歩んできた過程からもそう思うのですが)、それがどのような種類のものであれ、抱えてしまっている苦しみが、少しでも楽になるのであれば、(違法でない限りは)どんな手段、手法、療法であれ、その人にとって有効的なものであれば、どんなものでも試してみて良いと思っています。
「どんな手段、手法、療法でも」というのは、例えば、心理士による診察室での心理療法でも、NPOや福祉団体で提供されているピアグループによる集いでも、音楽や演劇療法でも、ヨガでも、瞑想でも、ヒーリングでも、もっと言えば、「神様や天使に祈る」と言った類であってもという意味です。苦しみが癒えて、その人が、その人らしく生きられるようになるのなら、ほんと、大げさでなく、なんだっていいと思う(ただし、そこに”支配”や”搾取”の関係がない場合に限りますよ)。
そんな中、現在受講中の、NPO法人”PANORAMA”の代表理事、石井正宏氏による「校内居場所カフェの実践」についての連続講座は、わたしに「支援」についての新しい視点を与えてくれたように感じています。
石井氏は、家庭環境に問題を抱えている子どもたちへの早期介入の重要性を訴え、いま、全国の高校に「居場所カフェ」の設置を提案し、実際、既に導入されたカフェを運営しながら、教育・心理・福祉の領域を超えて、また各領域の橋渡しをすると言った活動を精力的に行っている、いわば新しい支援のカタチを切り拓いてきた方(フロンティア)です。
初回の講座の中で特に印象的だったのが、子ども・若者への支援は、
「専門性より関係性」
という言葉でした。
そして、
「相談室に現れる子どもは勇者です」
とも仰っていました。
現在、平成7年度より実施されたスクールカウンセラー制度により、学校内での個別相談等が可能となっている学校も増えました。しかし石井氏は、常時虐待下に置かれ、最も支援を必要とする生徒ほど、自分の悩みを言語化し、先生に勇気を出して自分の状況を語り、約束時間に颯爽と現れることが困難であると断言しています。
これはある意味子どもの身になってみると当然のことで、カウンセラーに話すことで、それが担任に伝わり(実際、心理士であるカウンセラーには危機介入の義務があります)、それが親に伝わることで、ますます虐待がエスカレートするのを恐れているためです。
では、どうしたら良いのでしょうか?
石井氏は、専門性の前にまずは安心・安全の関係性を築ける場所(サードプレイス)が必要だと言います。そこで、居場所カフェなのですね。それも、困難を抱えていようがいまいが訪れられる誰もに開かれた校内にあるカフェだと言うのです。このスタイルを「ポピュレーション・アプローチ」といい、子どもに「自分は人に支援されなければならない弱い存在なのだ」というスティグマを与えないための配慮です。カフェではごく普通の身近な大人たちが、子どもと人と人として関わりながら、虐待や発達の悩みのSOSをキャッチし、信頼が築けたうえで、ちゃんとした福祉機関や、心理臨床へとつなぐ。そうすることで、最も変容が期待できる15歳~19歳の子どもたちを、適切な支援に繋ぐことができた事例がいくつもあると言うのです。
石井氏は、心理職は心理で問題を解決しようとする、福祉は福祉で解決しようとする、教育現場は教育で解決しようとする、でも、それでは根本的で長期的な問題解決はできない。これからは、専門性の壁を超えていかなければ、子どもの現状はいつまでたっても改善していかないとも仰っていました。
この点に関しては、心理学を学べば学ぶほど、わたしも感じていたことでもあったので、深くうなずくと共に、今後、わたし自身、わたしをどう生かしてもらいつつ、どのような支援を提供できるのか考える、よいきっかけとなったのでした。今後、どんな気づきを得られるか、残りの講座も楽しみです。
hanahiroinoniwa.hatenablog.com
先日書いたこちらの記事とも関わってきそうですが、また改めてこの件については書きたいと思っています。
きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき
写真を眺めてほっと一息^^