わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

人との愛着形成が難しいときどうするか

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 昨日は愛着障害においては、先ず現在の人間関係で「安心・安全」のベースの再構築が必要であること。そしてそのためには、愛着障害について、正しい知識とトレーニングを積んだ専門家の力を借りることが必須だと書きました。

 

 ただ、愛着障害のタイプによっては、カウンセラーに対して、かつて自分が得たかったのに得られなかった、理想の養育者(例えば母親)の接し方や態度を求め、「境界線」を超えることを要求したり、依存してしまうことで、カウンセリングが継続できなくなったり、愛着の知識がないカウンセラーや、同じ愛着障害を持ったセラピスト等により、更なる心の傷を被ってしまうケースが多いことを述べました。

 

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 

 

 とにかく、誰よりも”人や、世界との信頼関係”を回復する必要があるのが愛着障害の人なのですが、そのスタート地点に最も立てずにいるのが愛着障害に苦しむ人であると言うのが治療の最大のジレンマなわけです。これは、本当に辛いことだと思いますし、わたしも本当に辛かった。こんなことを書くと、心配する方もいるし、「分かってもらえない」がとにかく自分のデフォルトなので、敢えて人に話すこともなかったですが、定期的にネットで「楽に死ねる方法  他人に迷惑をかけない」と検索するのが常でした。その都度、「なかなか、ないもんだな~」と落胆し、「どれも痛そうだし、人にも迷惑かけそうだし、苦しそうだな・・」とそっちのリアルに共感することで、これまで生き延びてきたように思います。

 

 

 振り返ってみると、わたしの場合、治療や改善したいという意志はあったのですが、やはりカウンセラーとのラポールを築く点で苦労しました。「なんとなく、信頼できそう・・」と思い始めると、きまって、愛着障害の症状のひとつである、「愛着の否認」が襲ってきます。「誰かに優しくされたり、理解されたり、親密になったりなんて、あり得ないし、あり得てたまるか!だって、自分にはそんなこと一度もなかったんだから!」と言う無意識が暴れだしてしまうことを「愛着の否認」というのですが、これはもう自分の意思ではどうにもなりません。「否認」の状態の方が圧倒的に馴染みがあって、意識では嫌なのに、無意識ではそちらの方が安心だからです(これが複雑性トラウマの所以でもあります)。そして、「この人が優しいのは、どうせわたしがお金を払っているからだよね」と思ってしまうんですね。で、どんどん相手の「優しさ」や「共感」を疑ってしまい、「どうせ最後に見捨てられるのなら、わたしから去ってやろう」ってなる。このパターンを繰り返している方、ひょっとしたら多いのではないでしょうか?しんどい、ですよね。

 

 ただ、愛着障害が改善されてくると、この時の状況が冷静に、客観的に見ることが出来るようになります。つまり、「お金を払った」上で、「適切な境界線を保ち」つつ、「一定時間共に過ごしてくれる」カウンセラーの存在のありがたさを感じられるようになります。むしろ、この関わり合いだからこそ、変容できたのだなと実感できるようになるんです。(だから、いま、もし、専門家が冷たいとか、親身じゃない気がすると思っている方がいるとしたら、もう少しだけ踏ん張ってみてください。カウンセラーは、あなたの”お母さん”にはなれません。むしろ、お母さんだと思えていたらよくない傾向です。)

 

 

 わたしが最終的にどのようにして変容の好循環に入れたのかと言うと、意外かも知れませんが、まず「人との愛着形成」を諦めたことにあります。え?人でなかったら、何と愛着形成をしたの?と思いますよね?わたしは「場所」や「空間」との愛着形成から始めたのです。

 

 実は今も出来る限り毎日、同じ散歩コースを歩いています。とにかく馬鹿みたいに進路変更などは一切なく、同じコースを歩きます。そして、きまった公園のベンチに腰掛けて、しばらく(10分くらいから始めましょう)そこでぼーっとします。そして、家に戻ることを繰り返します。ベンチに座っている間、当然周囲に人がいることもありますが、自分とは何らかかわりのない人たちなので、ありのまま眺めます。これで十分です。人との愛着形成が難しかったわたしでしたが、散歩開始から2年が過ぎる頃には、そのコースを歩いている間は、「安心・安全」を覚えるようになっていました。

 

 

 また同時に行っていたのが、SE™のセッションを受けた時に学んだ、自律神経を調えるためのワークでした。あとはミルトンエリクソン系の催眠療法ですね。

 

 

 SE™のワークはこちらの著書の中にも出ていますので、ぜひご覧になってみてください。

 

 

 

 

 

もっと専門的なことを知りたい方は、こちらの著書もお薦めです。

 

 

 

 

 

 SE™では、トラウマを負ってしまった神経系が回復するのに、年齢の約10分の1の年月が必要だと述べていますが、本当にその通りだなと思います。例えばそれは、これまで右利きだった人を左利きに矯正するようなものなのです。わたしも、揺れはあっても波が小さくなってきて、「あれ?辛くなくなってきたかも・・」、「人と一緒に居るのが楽かも?」と思えてきたのは2年を過ぎたあたりからでした。

 

 

 愛着障害の方は認知行動療法が効きにくいと言われています。それもそのはず。複雑性トラウマによって、脳の無意識領域に傷を負っているので、意識を通して行う療法との相性が悪いのです。内観療法や、アファメーションと言うのも、愛着障害の人はむしろ控えた方がベターです。傷が深くなる場合が多いです。

 

 

 ざっと、自分自身の経験から「愛着障害」の回復について書いてみましたが、自分に何が起きて、何が起きていなかったから「今の自分」となったのかを知って、自覚しておくことは大切です。

 

 

 あながた子どもの時に得たかった「安心・安全」をそのまま取り戻すことは、ひょっとしたら無理かも知れません。でも、それとは違ったカタチで、いまここから、あなたの「安心・安全」を創り出してゆくことは可能であるとわたしは思っています。

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき