よく心理学や自己啓発の本などを読んでいると出てくるフレーズに、「気づくと変わる」とか「気づけば変わる」というのがありますが、これ、何故「気づく」と「変わる」なのでしょうか?
この過程、だいぶ、いや、かなり、端折られてる…?
私はずっとそう思っていました。
今日はこの「気づく」ということの本質について、私なりの考察をしてみたいと思います。
私がこの「気づく」について「そうか!そう言うことだったのか!」と腹落ちしたきっかけは、米国の哲学者・心理学者のユージン・T. ジェンドリンの提唱した「フォーカシング」の学びでした。
フォーカシングと言うのは、
まだ言葉にならないような、からだで感じられる微妙な感覚に注意を向け、そこから言葉を出していく作業です。カウンセリングが成功するときには、クライエントの心の中でこのような作業が生じています。カウンセリングで心が変化していく瞬間に起こる現象です。
と一般的に定義されています。実はフォーカシングは私が主催しているフォトレッスンの上級者コースでもお伝えしている必須の視点です。
具体的に日常生活でどんな風に用いるかと言うと、あなたが今悩んでいる事柄や、人、状況について思った時に、身体にどのような反応が起きるのかに”フォーカス”して、ただそのまま感じていきます。ポイントは無理に思考をこねくり回さないこと。答えを出そうとせずに、曖昧な感覚はそのままにして、ただ感じていきます。
胸の上がぞわぞわするぞ・・とか、
お腹が痛いなあ・・とか、
首の後ろが重たいな・・とか、
視界が急に狭くなったな・・とか、
なんでもいいです。不正解はありません。ただそれを感じておきます。
するとある時、ふっと思い出したかのように、
「あ、あれって、私、すごく怒っていたんだ!」とか、
「本当は悲しかったんだ!」とか、
「わたし、怖かったんだ!」
と脳ではなく、どこか自分の根源から思い出す・・・といった感覚が湧き上がってくるのです。この時、気づいた感覚の種類がどんなにマイナスに思えることであったとしても、不思議なことに身体は緩むんですよね。
その時、以前にはなかった「余白」のようなものが自分の内側に生まれ、それ以前には出来なかった、全く新しい選択を選び取れたりします。
つまり、「気づく」ことで、思考や感情に「余白」が生まれるので、身体の葛藤や緊張が緩むために、悩んでいる対象や、状況がさほど変わっていなかったとしても、新たな選択肢の可能性が生まれ、物事が変化したり、問題が思わぬ方向に解決したりする・・
というのが「気づけば変わる」の種明かしなのだと私は理解しました。
ただ、フォーカシングの難しさは、皮肉なことに、人間の脳が「曖昧なものを曖昧にせずに解決したい」と働くことにあるでしょう。
何故なら「曖昧」さは「生命」を脅かすことですから、自律神経系のサバイバルモードがオートマチックに発動してしまうからです。
そのため、自身の内に「安心・安全」が育っていない内は、専門家と一緒にフォーカシングを行うことが望ましいと言えるでしょう。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
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(40分 3,300円)
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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