緩急をつけながら、日増しに父の認知症はひどくなっています。
もともと気難しく、扱いずらい人ではあったのですが、晩年にはそれでもかなりマイルドになったなあ・・と思っていたのですが。
先日、私が東京に戻った後には、「これだから、東京へなんて嫁にやるんじゃなかった!」としばらく怒りが止まらなくなっていたらしく、私が帰り際に、「ベル(犬)も待ってるから帰ってあげないとね。お父さん、ベルが寂しいの可哀そうでしょ」と言って出たのがいけなかったのか?「俺はもともと鳥獣類は大っ嫌いなんだー!!!!動物なんて絶対に飼いたくない!!!」と大声で叫んでいたそうです。
いや、知ってましたよ。お父さん、あなたが動物大嫌いなこと。本当は地元で結婚して、できれば婿をとって同居して欲しかったこと。ついでに言えば、お墓もきっちり守って貰いたかったこと。それがほんっと重たくて、私は10代の頃から、虎視眈々と家を出る計画を練っていたんですから。
そうそう、話は少し逸れますが、だいぶ前に、こちらの書籍がドラマ化されて放映されたのを覚えていますか?
ドラマの中で、ガネーシャと言う不思議な神様ゾウが出て来て、いろいろ試練を課すのですけど、ヒロインが「本音しか言えなくなる」回があるんですね。思ったことを、忖度なしに相手に言ってしまう・・・でも、結果的にそれが周囲を変化させて、本音を言ってる本人も信頼されて、自分に自信をもっていく・・みたいなシーンなんですけど。
その時、その時、思ったまんまを口にしている父を見ていると、ドラマのそのシーンを思い出すんです。ヒロインは紆余曲折しながらも、無理を重ねていた自分の鎧を脱いで、心が楽になっていくんですが、父は本音をぶちまければぶちまけるほどに、周囲をどんどん疲弊させて、みんなの心をズタボロにしていく・・・・。
同じことをしているのに、何が違うんだろう?って思った時に、
本音で生きるというのは感情のコントロールを放棄することではない!
と思ったんです。
本音を告げるって、たぶん言う方が辛いんです。楽じゃない。
だって相手に投げた本音が、相手にどう届くのか?どう響くのか?その責任を自分が負う覚悟で告げるんです。だから決して気持ちが良いことではない場合もある。むしろ、その方が多いのではないでしょうか?
その覚悟が負えなくなってしまったから、父は病気なんです。ゆえに、私たち家族をはじめ、医療関係者の方も、どうにか堪えていられるのだと思う。
でも、「本音で生きること=感情のコントロールを放棄すること」
として促すようなワークをさせる悪質な自己啓発系のセミナーなんかもあって、そこにどっぷりハマってしまってから心を病んで傾聴カウンセリングに来られる方も実際にいます。回復までがとても困難です。病気じゃなかった人を、本当の病気にしてしまうんですよね。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
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(60分 3,300円)
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
写真を眺めてほっと一息^^
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