わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

適切な心理教育とセラピーで愛着トラウマは必ず改善されていく

Sonyα7Ⅲwith contax planar 50mm f1.4 MMJ

 

 この週末は、精神科医である高橋和巳先生の講座に参加していました。今回のテーマは「愛着障碍」。わたしにとっては、3度目の受講となります。
愛着障碍がどのようなものであるのかは、このブログ内でも書いておりますので、カテゴリ欄よりご覧ください。)

 

 

 3年前、初めて「愛着」の回を受講した時は、まだ大学に入学する前でした。内容を聴きながら、時々苦しくなって、涙が出てしまったのを覚えています。その涙は、時間を追うごとに、「怒り」を孕んだものとなり、次に「絶望」を孕んだものとなり、最後に「悲しみ」を孕んだものとなり、今は「自己理解」という途上にあります。

 

 

 それまで様々な手法で、「自分を好きになりたい」と思って頑張ってきましたが、今は、はっきりと言えます。無理に「自分を好きになる」必要なんて一切ない。生きづらさを抱えた人にとって、本当に必要なのは、「自己理解」のスキルであり、ひいてはそのスキルを育てるための、適切な心理教育とセラピー/カウンセリング/なのだと。

 

 

 わたしにとって、そのスキルの後押しをしてくれたのは、高橋先生の講座と、SE™のセッション、IFS(内的家族システム療法)だったと思います。ここまで来るのに、本当に長かったし、遠回りもたくさんしましたが、このプロセスの一切合切が、いま、クライエント様にすべて還元できているのであれば、それはそれで意味があったのでは?とも思います。

 

 

 高橋先生の講座の素晴らしいところは、何度受講しても、新しい気づきがあることでしょうか。実際の現場の事例を用いてのアセスメントを行うため、自分の技量ではまだまだ見えていなかった視点を得ることができるのです。こちらの講座の内容を知ってから編入学した大学の心理学部でしたが、正直、現場で具体的に役に立つことを学べるか?と言うと、100%「YES」とは言い難いものがありました。当たり前ですが、現場は教科書通りにはいきません。ただ蔑ろにするつもりはありませんでしたから、心理職を語る者の必要最低限の土台であり、その先の学びへのパスポートなのだと思って、愚直に学びました。

 

 

 昨日の講座の中で、今更ながら気づかされたことに、こんなことがありました。

 

「愛着障碍」の症状の中に、「見捨てられ不安」というのがあります。これがあるために、愛着障碍の人は、自己主張をせず相手に過剰に合わせたり、自分の感情を押し殺して疲弊してしまうと言われます。

 

でも、そもそも健全な「愛着」が持てず、「見捨てられている」がデフォルトである人が、対象から「見捨てられる不安」と言うものを持てるのか?というと、矛盾していると先生は仰ったんですね。では、何が、「愛着障碍」の人の根本的な問題なのかと言うと、「人(自分自身も含めた)を信じる恐怖」なのだそうです。これを聴いた瞬間に、わたしの中にあった矛盾が、すっと解けた気がしました。

 

わたし自身、かつて「見捨てられる不安」と言われても、なんだかピンと来ないことの方が多かったのです。なぜなら、「見捨てられた」と思えるほどに、人と親密になれるスキルが、自分にはそもそもあるのだろうかと思っていたので。

 

 

 でも、潜在的に根っこにあるのが、「人(自分自身を含めた)を信じる恐怖」だとしたら、それを回避するために、人と親密になることを避けるだろうし、信じないための証拠探しをするだろうし、もっと言えば、「人(自分)は信じられないもの」という信念を強化するために、「見捨てられた」という偽感覚を捏造することだって可能なわけです。ここを直視できるかどうかが、愛着トラウマから抜け出せるかどうかの肝になるのかも知れません。そして、それはかなり苦しい道程となるはずです。

 

 

 最後に先生が、「複雑性PTSDがICDー11にようやく組み込まれたことで、ようやくアセスメントがやり易くなってきた」と仰っていました。これは本当に「やっと」という感じ。これまでの心理療法が大きく変わっていく転換期に居合わせ、そこに自分の通って来た経験を重ねていけるという流れの中にいるセラピストは、いま、多いのではないでしょうか。

 

 今世の中に溢れている、虐待問題、ネグレクト、モラハラ、パワハラ、いじめ、ヤングケアラー、アダルトチルドレン、カルト問題、洗脳問題、これらの要因の多くが「愛着」に関わるものだと言われています。

 

昨今、だいぶ「愛着」の問題が明るみに出てきてはいますが、まだまだ認知は浅いと思われます。なぜなら、ヘルシーな愛着を持って育った方にとっては、知らなくても一生何も問題ないし、心理職でもなければ、理解するのが困難な心理状態だからです。

 

 それでも、今の世の中を見ていると、誰もがもう無関心ではいられない気がしています。少しでも、「愛着問題」への関心を持ってもらえるよう、記事を書いていきたいと思っています。

 

☆きょうも最後までお読みくださり
ありがとうございました^^

 

 

写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

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