「生きづらさ」や「自己改革」等を謳ったセミナーなり、セッションを受けたことのある方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「それはあなたが”自分は愛されないということを前提”にしているからです」
「それはあなたが”自分は人から受け入れてもらえないことを前提”にしているからです」
「それはあなたが”他人は自分を傷つけてくるということを前提”にしているからです」
まだまだ挙げれば切りがありませんが、だいたいこんな感じのフレーズです。
この、
”自分は愛されない前提”
”自分は人から受け入れてもらえない前提”
”他人は自分を傷つけてくる前提”
とカウンセラーやセラピストから言われて、「いや、そんなはずはないですが・・」と抵抗したり、疑問を持つことができるクライエントさんはほぼいません。そもそも、それが出来ないからクライエントなわけです。わたし自身、「はい、その通りです!」とこの前提の前にひれ伏した経験が、過去何度もあります。
ただ、自分がどうしてそんな前提を持つことになったのか?については、だいぶ間違った理解をしていたことが分かってきました。
”自分は愛されない前提”
”自分は人から受け入れてもらえない前提”
”他人は自分を傷つけてくる前提”
これらはすべて、認知がまだ未発達の物心つく前、乳幼児期の養育者との非言語のやりとりの段階で自律神経系にすり込まれてしまうのです。
hanahiroinoniwa.hatenablog.com
例えば、わたしの場合、上の記事でも書いた通り、乳児期に安定的な養育者(母)からのケアを受けることが未達だったという事実があります。この他にも、「泣いた子を直ぐに抱きかかえたら忍耐力が育たなくなる」という父の偏った育児方針により、泣いてもしばらくは、部屋に放置されていたと母から聞いたことがあります。個体差はあるとは思いますが、乳児にとって、「恐怖」や「空腹」という状況から守ってもらえないというのは生きるか死ぬかの”死活問題”です。この時、自律神経には次のような概念が(もちろん)非言語で刻まれていきます。
”自分は愛されない存在である”
”自分は人から受け入れてもらえない存在である”
”他人は自分を傷つけてくる存在である”
これが、「〇〇の前提」の正体です。そして、付け加えますが、この前提が形成されるにあたり、ネグレクトの質の重さ、軽さは、あまり関係がありません。
以前、精神科医の高橋和巳先生が講座の中で、
「あくまで私の経験的になんだけど、愛着障害の人には何故か認知行動療法が効かないんだよねえ・・」
と仰っていましたが、私にとってもこれは経験として実感するものがありました。
そもそも認知行動療法と言うのは脳の中でも一番新しい、大脳新皮質に、言葉を介して行う心理療法なのですが、愛着障害の方と言うのは、刷り込まれた神経言語で苦しんでいるため、言葉でいくら、「あなたは愛される存在です!」と繰り返したところで、「はい!そうですね!」とはならないのです。例えば考えてみてください。普段右利きで生活をしている人に、「大丈夫、あなたは左利きですよ!」と何百回、何千回、言葉で暗示をかけたところで、神経プログラムは自動的に「右利き」を選択し続けるでしょう?それと同じです。
実は、いま世の中に溢れている手近なセラピーは、ヘルシーな自律神経系言語を持っている人を前提に組み立てられているものが殆どです。ここに、いろんなセラピーやカウンセリングをジプシーしたけれど、思ったような効果が得られないのは何故なのか?という疑問や悲嘆を解く鍵があると思います。
次回は、この刷り込まれた自律神経系の前提が、どのように人間関係に不協和音をもたらしていくかについて書きたいと思います。
☆きょうも最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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