厚生労働省の調査によれば、うつ病の再発率というのは60%だと言われています。ただ、この数字は1回目の再発率で、2回目は70%、3回目になると再発率は90%にまで昇ると言われています。
心の学びを始める前は、もっと言うと、自律神経系の仕組みを理解する前までは、どうしてなんだろう?とずっと思っていました。
それこそ、やはり患者さんの性格に依拠する部分が多いのかもなあ・・と、理解するより他なかったのでした。
ところが、ポリヴェーガル理論を学ぶことで、一度自律神経系の視点から、患者さんに起きていることを見られるようになってくると、表面的には「職場復帰しても問題ないだろう」という状態を呈しているにも関わらず、自律神経系的には、「あ、それってまだまだまだ、ぜんぜん社会に戻っちゃいけない!今、戻ったら、またすぐに逆戻りしちゃう!」という状態が見えるようになりました。
ひとつ例をあげると、よく言われる「うつの回復期のリスク」問題です。
医師からの診断書が出た後、3か月ほど、安心・安全の環境の中で、上質な休息が守られた、心理発達が成人期に達している大人というのは、多くの方が「もう、大丈夫。職場復帰できる気がする・・」と心身ともに思い始めます。
休息を促す背側迷走神経複合体がの働きが満たされ、外へ動き出したい!という交感神経のスイッチが自然と入り始めるからです。
でも、ここであなたがもし、「もうこれ以上、皆に迷惑をかけられないし、前と同じペースで働くぞ~!」と思ってしまっているとしたら要注意なのです。
実はうつ病療養の真っ最中というのは、憂鬱感や倦怠感こそありますが、肉体からの「疲労」というものは、感じにくくなっています。ここ、すごく見極めが難しいところだと思います。
だるい気がする・・
鬱々としている・・
身体が重たい・・
これ、肉体と言うよりは、むしろ、脳の反応なのです。
療養をすることで、これらは和らいできますが、いざ職場復帰して目のあたりにするのは、生身の肉体の「疲労」です。
長距離電車で通勤されている方が、途中の駅で運よく席が空いて座れると、どんなに健康で元気な人でも、身体が緩んで「疲れたーー!」「座れたーー!」って全身に疲労感を受け止めることがありますよね?
社会で人と関わるって、うつ病の人、健康な人に関わらず、「疲労感」を伴うことなのです。健康な時には、その「疲労感」が、「今日も頑張ったなー!」と満足感として体感できることもありますが、その「疲労感」に抗って、抗って、それが限界に達してうつを発症した方にとっては、久しぶりの出社で味わう人間関係から来る肉体の「疲労感」を受け止めるだけの耐久力は、まだ回復していません。
そのため、1日出社した段階で、みんなが優しくしてくれているのに、へとへとになっている自分に「やっぱり、自分は駄目なんだ!」と思い込んで、翌日から再び自宅療養になる・・というケースも多いと聞いています。
長期休職をしてしまった方にとっては、一日も早く復帰しなければと焦る気持ちはよく分かるのですが、回復期のゴール設定のプロセスは、思った以上に細かく設定する必要があることが、自分の自律神経について学べば学ぶほど、理解できてくると思います。
そして、忘れてならないのは、「疲労感」というのは、回復のプロセスの中では重要な体感だということ。ここの通過なしには、回復の道を歩めないのです。逆に、ヘルシーな「疲労感」を感じられれば、うつ病からかなり回復した証拠ということになります。
再発率が下がらない一番の理由は、この「疲労感」へのケアが不足しているか、もしくは、そこへの周囲の知識や理解が不足しているからではないか?と推察します。
この「疲労感」の見極めを、しっかりしてくださる、精神科医、心理士・心理師、心理カウンセラー・セラピストさんと共に、歩めると良いですね。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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