
その人は、よくこんな風に声をかけてきたものだった。
「今、ちょっとエネルギーが揺れてるんじゃない?」
「その感情、前世からのテーマかもね」
悪意はない。
むしろ、親切なのだと思う。
実際、救われた気がした夜もあった。
けれど、気づいていた。
会うたびに、身体のどこかが固くなっていたこと。
少しずつ、言葉を選ぶようになった。
思っていることを、
思っていないような顔で隠すのが癖になっていった。
ある日、その人から、いつものように訊かれた。
「最近、どう?」
一瞬、迷った。
本当のことを言えば、視透かされる。
意味づけされる。
こちらからは見えない物語に回収される。
だから、その日、初めて、
とても単純な答えを返した。
「うん、べつに、普通」
そのひと言に、相手は少しだけ戸惑った顔をした。
そこから先の言葉が、続かない。
沈黙が流れた。
不安な沈黙ではなく、
ただ、世界によくある、
平凡で、ありふれた、普通の沈黙。
意味付けのない、沈黙。
そして気づいた。
ああ、もう、
この人に守ってもらわなくても、生きていける。
それは強さからではなかったが、
むしろ、弱さから生まれた、
脱力という本来の強さだった。
別れ際、特別な言葉は交わさなかった。
関係が終わったわけでもない。
ただ、視られる場所に立たなくなっただけ。
見透かされないために距離を取ったのではなく
自分を隠さなくていい場所へ、戻っただけ。
分かってもらえない不安より、
分かろうとされすぎる緊張のほうが、
自分をすり減らすのだと知ったから。
目に見えない世界が嫌いになったわけではない。
曖昧な世界でも大丈夫だと思えるようになっただけ。
世界は、前よりも少し平坦になった。
その分、足の裏の感覚は確かだった。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
あなたの未完了の物語を身体アプローチと対話で再編集する心理カウンセラー
・愛着の傷 / 生きづらさ / 発達凸凹
・身体アプローチ × パーツセラピー × 原始反射統合
・心の安心基地をつくっています
日本心理学会認定心理士 / 療育整体師
さとうみゆき
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心のもやもやは、大きくなる前に話して、ケアしていきましょう^^
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