
今日は本のレビューを書きたいと思います。ご紹介するのは、こちら・・・
チェ・ウニョン著 『明るい夜』です。
簡単にあらすじをご紹介しますと・・・
主人公は、離婚を機にソウルの生活を畳んだ31歳(女性)のジヨン。院卒の、専門技能を持っているインテリな女性です。幼い頃に夏を過ごした海辺の町”ヒリョン”を再訪し、疎遠になっていた祖母(ヨンオク)と22年ぶりに思いがけず再会をします。
ぎこちない再会の後、折に触れ、祖母は曾祖母(サムチョン)から自分、そしてジヨンの母(ミソン)へと連なる一族の悲しい来し方を語り始めます。
物語は、植民地支配や戦争(世界大戦や朝鮮戦争)、強固な家父長制や階級差別のもとで翻弄されながらも、ささやかな相互扶助と手仕事・学び・移動を通じて生をつないだ4世代の女性たちの百年をヨンオクとジヨンが辿るかたちで進みます。日本人としては、これまで日本側からの視点だけで見て来た20世紀を、韓国側から追体験する機会に恵まれます。
綴られる物語の中では、戦争で離散した家族の消息や、避難・移住の記憶、家のしきたりに抗う小さな選択が積み重ねられ、胸がつまります。やがてジヨンは、祖母と母に受け継がれてきた悲しみと強さを自分のうちに見出し、「夜が明ける前に伝えたい言葉」を胸に、自分の人生をもう一度選び直す決心へと向かう・・・とまあ、本当にざっくりな説明ですが、現代を生きる女性が、壊れてしまった心を取り戻していくという物語です。
この4世代の女性たち全員が、時代背景のせいも多分にあるとは思うのですが、母親からのヘルシーな協働調整を受けられなかった故の”愛着トラウマ”を抱えておりまして・・・。
表現の随所に、それを観てとれるために、私は読みながら、自分の心象風景と重なってしまい、とてもとても苦しかった・・・。と同時に、読み終えた後は、豊かなカタルシスの泉の中に、身を浸すことが出来たことも、付け加えておきたいと思います。この小説を読むことで、無意識にあった悲しみと今一度対峙出来たというのかしら・・?やはり意識化するって、感情の癒しには必須なんだなと、改めて感じました。読むだけで、昇華された心の澱(トラウマ)もあったような気がしています。
実は、本編も素晴らしいと思いましたが、作者であるチェ・ウニョン氏のあとがきも胸を打ちました。
一部を引用します・・・
(前略)
他人が恐ろしく、自分の安全を守るためには孤立するしかないと考えたことも時々ありました。人が信じられないと思いましたし、私にそうした感情を植えつけた人たちを恨んだ時期もありました。でも、そんな時期を経て行き着いた事実、それは、自分はどうしようもなく人が好きで、他人のとの親密さを渇望していて、人の善意を信じているということでした。人を恐れ、その先にある嫌悪感や果てしない不信感を抱くことは、少なくとも不可能でした。
(中略)
今はまだ想像もできないだろうけれど、あなたを毀損しようとしていたあらゆる悪意は、あなたの本質に一切手出しできなかった、あなたは変わらず、あなた自身のはずだと。人を信じ、愛し、失望することはあっても絶望はしない、天性の姿のままでいるはずだと。人生はこれからも続き、自分の生を日に日にもっと愛するようになるはずだと。
チェ・ウニョン自身も、恐らく愛着サバイバーなのではないでしょうか?そして、自分をあきらめずに、自分を人を、この世界を愛することに立ち向かった、私たちの同志なのではないでしょうか?
とても切なく苦しい・・けれど、リアルな心の回復の軌跡がそこにある・・・
気になる方はぜひ読んでみてくださいね^^
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
ありおりカウンセリング
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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