世の中にSNSも無ければ、こうしたBlogサービスも十分にはなかった時代のこと。今から約30年前、私は自分で撮った写真やエッセイ・詩を発信するサイト(HP)を運営していました。当時はwordpressなんて便利なものはありませんでしたから、自分で覚えたタグを打ち込んだりしてHPを作成していましたが、それはそれで夢中になるくらい楽しかったのを覚えています。
そうしたHPには、決まって「LINK」を掲載するページがありました。お気に入りのサイト様と相互リンクをしたらバナーを交換したり、イラストや素材サイト様の中には、使用したら必ずバナーを貼ってくださいと指定されている方もいました。(懐かしい~!)
更に、個人間のリンク以外にも、「同盟」というジャンルのバナーもあり、これはなんというか、自分には「〇〇の趣向があります!」を言わずして第三者に主張・見せる役割がありました。
その「同盟」の中でも、私が特に好きだったのが『淋しがりやの孤独好き』という同盟でした。
人恋しいし淋しいの
でも
独りがいいの
という、一見矛盾するような言葉の掛け合わせでしたが、生まれてからずっと自分が抱えて来た生きにくさを、たった12音で表現してくれていることに、胸が打たれたことを覚えています。よくぞ、分かってくださいましたね!という感じでした。
今になって思うと、この矛盾こそが愛着障害・愛着不全の方が抱えている悩みの正体なのですが・・・。
では実際に、「淋しがりやの孤独好き」という矛盾のように聞こえる言葉の根っこでは、本当のところ何が起きているのでしょうか?
1. パラドックスの正体
「寂しいのに一人でいるほうが楽」――一見すると
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寂しがり屋だから人といたい
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孤独好きだから一人になりたいという相反するニーズを同時に抱えているように思えます。しかし実際は、どちらも同じ根っこから生まれた“安全欲求”のサインなのです。
愛着障害のある人は、本当は「人とつながりたい」「居場所がほしい」という思いが人一倍強いにもかかわらず、一度“心を許しすぎた先”に待っているかもしれない裏切りや傷つきを避けるため、無意識に「孤独」というバリアを張って自分を守ろうとします。
2. 「孤独好き」は防衛ではない
「ただのツンデレじゃないの?」と思われがちですが、孤独を選んでいるのは“防衛”というより「これ以上傷つくのが怖い」という不安が先行しているからです。
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近づきたい気持ち:
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子どもの頃、十分に甘えられなかった
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周囲の反応(特に養育者からの感情の協働調整)が不安定・不十分で、感情をさらけ出せなかった
→ 「受け入れられるかどうか」がいつも試されているような感覚
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引いてしまう気持ち:
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“心の距離を縮めたとき”に起こる可能性のある失望や孤立感への恐怖
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過去の傷がフラッシュバックして、自分が壊れるかのように感じる
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この二つは、切り離せないセットです。どちらか一方を否定しても、根本的な安心感は得られません。
3. 恐怖の正体を受け入れるステップ
3.1 自分の「怖れ」を言語化する
まずは、あなた自身の中にある「何をしたら怖いのか」「どういう局面で防御反応が出るのか」を丁寧に書き出してみましょう。
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例:「仕事の飲み会で馴染めなかったら恥ずかしい」「親しい友人に悩みを打ち明けたら見捨てられそう」etc....
3.2 安全基地を作る
心を開く練習は、いきなり深い関係から始めると怖さが大きくなります。
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小さな安心体験:
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対面しないSNS等で挨拶程度のコメントを返信の期待をせずに投稿してみる
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ご近所の方と逢ったら簡単な挨拶をする
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信頼できる一人に「最近ちょっと疲れている」等パーソナルなことを打ち明ける
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3.3 恐怖と向き合うサポートを得る
「自分だけでどうにもならない」と感じたら、専門家の力を借りるのも有効です。
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心理カウンセリング/セラピー
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愛着障害に詳しいグループワーク
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身近な友人・家族に「ちょっと付き添ってほしい」と頼る
4. 「孤独」を見直す
「孤独好き」と言いつつ、実は人に近づきたい気持ちがあるということは、
適切にケアすれば「一人の時間」と「人と過ごす時間」のバランスを自分で選べるようになる心のスキル・土台は、むしろ通常の方以上に高いということです。
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一人の時間の質を高める
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自分の好きな本や映画を味わう
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身体を動かす(ウォーキング、ダンス、ストレッチなど)
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ジャーナリング(日記)で感情を整理する
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人との時間を育てる
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短時間・少人数の集まりから始める
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「できる範囲で」「今日はこれだけ」と境界線を設定する
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ポジティブな体験を積み重ねて、「人といても大丈夫」という感覚を育む
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5. 小さな一歩が、大きな安心へ
「さみしがりやの孤独好き」という言葉が指し示すのは、
“人を求めながらも、安全を願う心”です。
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怖れを言語化し
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小さな成功体験を積み
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必要な支援を受けながら
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一人の時間と人との時間のバランスを見つける
──このステップを繰り返すことで、
あなたは「自分で選んだ孤独」と「自分で選んだつながり」を、
どちらも無理なく楽しめるようになるでしょう。
そして、いつか、あなた自身が自分の心の安全基地になっていけることが理想です。
一歩ずつ、ご自身のペースで進んでいきましょう。
きょうも最後までお読みくださりありがとうございました。
hanahiroinoniwa.hatenablog.com
ありおりカウンセリング
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
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