同じ悩みや愚痴を話しているのに、ある人の話は「つい聴き入ってしまう」のに、別の人の話は「聴くのが辛い」「イライラする」「距離を置きたい」と感じることってありませんか?SNS等でも同じではないでしょうか?なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?
実は、この違いには自律神経の状態が深く関わっています。特に、ポリヴェーガル理論に基づいて考えると、相手の話し方や雰囲気が、私たちの神経システムにどのような影響を与えるのかが見えてきます。
ポリヴェーガル理論と自律神経のモード
ポリヴェーガル理論では、自律神経は3つの主要な状態を持つとされています。
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社会交流モード(腹側迷走神経複合体の活性)
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心が落ち着き、安心感を持ち、他者とのつながりを感じられる状態。
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声のトーンが穏やかで、表情が柔らかい。
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こうした状態の人が話す悩みや愚痴は、「共感しやすい」「聴いていても疲れにくい」。
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戦う・逃げるモード(交感神経の活性)
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警戒心が高まり、興奮状態になりやすい。
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声が強く、早口になったり、感情的になりやすい。
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こうした状態の人の話は、相手の交感神経を刺激しやすく、「聴いている側も不安やストレスを感じる」。
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シャットダウンモード(背側迷走神経系複合体の活性)
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無気力、絶望感、エネルギーの低下。
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声が小さく、表情が乏しい。
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こうした状態の人の話は、相手に「重さ」を感じさせ、聴いている側もエネルギーを奪われる感覚になる。
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自律神経のカクテルと会話の影響
人が話しているとき、その人の自律神経の状態が、聴いている人の神経にも影響を与えます。これを「自律神経がブレンドされたカクテル」と考えると分かりやすくなります。
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社会交流モードの人が悩みを話すと → 落ち着いたトーンや表情のおかげで、聴く側も安心し、共感しやすい。
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戦う・逃げるモードの人が悩みを話すと → 相手の交感神経を刺激し、聴く側も緊張しやすい。
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シャットダウンモードの人が悩みを話すと → 相手のエネルギーを奪うように感じられ、聴く側も疲労しやすい。
つまり、「同じ悩みを話しているのに、聴く側の感じ方が違う」のは、話し手の自律神経の状態が、聴き手の神経システムに影響を与えるからなのです。
どうすれば「聴いてもらいやすい」話し方になる?
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話す前に深呼吸やストレッチをして、自分の自律神経を整える
→ 落ち着いた状態で話すと、相手も安心しやすい。 -
感情が高ぶっているときは、少し時間を置いてから話す
→ 交感神経が優位なままだと、相手にストレスを与えてしまうことがある。 -
「ただの愚痴」ではなく、「どうしたらいいか?」も考える
→ 受け取る側にとっても、建設的な会話の方が負担が少ない。
「話の内容」だけでなく、「話すときの自律神経の状態」が、聴く側の感じ方を大きく左右します。ポリヴェーガル理論を活用して、自分の神経状態を整えながら話すことで、より聴いてもらいやすい会話ができるようになります。
次に誰かに悩みを話すときは、ぜひ「自分の自律神経のカクテル」を意識してみてください!