心理発達段階をみる - わたし歩記-あるき-

　先日、カウンセリングのセッションでクライエントさんから以下のようなご質問がありました。

　ママ友のグループLINEでモヤモヤしています。悪い方でないのは分かってるんですけど、どうしてもその人に対して好い感情を持てない自分がいます。他の人は自分のように感じていないような気がします。なので、自分の性格が悪い気がしてさらに落ち込みます。どうしたらいいでしょうか？

　クライエントさんがざわついている対象の方を仮にAさんとしましょう。

このAさん、ことある事に、ママ友のグループLINEに自分の報告をしてくるのだそうです。例えば、

「〇〇を買いました！すごく良いです！超おすすめ！」とか

「今度、家族で〇〇へ旅行することになりました！」とか

「〇〇市の〇〇で事件があったみたい！皆さんも気を付けましょうね！」とか

クライエントさんからしたら、「で？だから？」って内容。（わかるわ～、これ！）
わざわざあなたに言われなくても・・って内容。

でも、他のママ友さんたちは、「良かったね～！」とか、「いいな～！楽しんで来て～！」とほがらかに共感的な返信をしているので、「で？だから？」ってイライラしてしまっている自分は、性格が悪いんじゃないか？と落ち込んでしまうのだそうです。

先ず、開口一番私が申し上げたのは、クライエントさんの性格は悪くない！ということ。

そしてね、「良かったね～！」って返信している他のママ友さんたちも、心の中では「はいはい・・そうですか～！」って思ってますよ！ってことです。

更に言うと、このAさんも、悪い人ではないのです。むしろ「いい子」だと思います。

そう、「いい子」。

ここがポイントです。

カウンセラーは、インテーク面接で、必ずその人の心理発達段階の見立てを行います。

「〇〇を買いました！すごく良いです！超おすすめ！」とか

「今度、家族で〇〇へ旅行することになりました！」とか

「〇〇市の〇〇で事件があったみたい！皆さんも気を付けましょうね！」

を、こんな風に言い換えてみましょうか？

「〇〇ゲームのソフト買ったんだ～！めっちゃ面白いよ～！」

「今度の夏休みね、パパとママと三人でハワイに行くことになったの～！楽しみ～！」

「〇〇先生が、隣のクラスで風邪が流行ってるから、うちのクラスも気を付けるようにって言ってたよ～！」

小学校の高学年あたりにいませんでしたか？こういう子。悪気はない、むしろ、「いい子」。

学級委員をしていたり、生徒会をしていたり・・・・。何か大きな組織や、先生などの権威には当たり前に従って、行事も真面目に取り組んで、先生からの信頼も篤いタイプの子。両親とは友達親子な感じで、反抗期もさほどなく、そのまま大人になったような子。自分の世界が絶対で、この世界では誰もが優しく幸せで平和だと、微塵も疑っていない子。

一見パーフェクトに見えますが、彼らのことを我々は「成人学童期」心性の人たちと呼んでいます。

彼らは、傷ついてでも、傷つけてでも、自分の意志を通す経験、つまり思春期を超えていません。ですので、他人と自分は違うことに想像が及ばず、自分が良いと思ったことは、周りも良いと思っているし、一緒に喜んでくれるはずと信じているのです。

実は、この心性の方たちにはカウンセリングは効果がありません。なぜなら、カウンセリングというのは、「葛藤」のエネルギーを使って、新しいステージへとクライエントさんを押し上げることで、悩みそのものは変化せずとも、悩みへのとらえ方を変えることが本質だからです。彼らは自分の世界が絶対だと信じているため、葛藤がないのです。そのため、「成人学童期」の見立てが出来た段階で、方針を切り替えます。

ですので、もし、こんなママ友さんに悩んでいるのだとしたら、そのイライラはヘルシーな大人の心理発達をした方にしたら、当然だということを覚えていてください。その上で、

「あ～この人は見た目は大人だけど、心は小学校５～６年生なんだな・・」と理解し、「うんうん、良かったね～！」と大人の共感ができるようならしてあげてください。絶対正義の中を生きているので、敵に回すと厄介なのも、この方たちなので＾＾；

できないようなら、そっと距離を取るのも、あなた自身の精神衛生上は、良いと思います。

↓水曜日の23時まで参加受付してます＾＾