これまでに私のところに傾聴のお申し込みをくださった方たちの中には、既にご自身でも様々なセラピーを受けられたり、数多の書籍等で心理のお勉強をされた方が多くいらっしゃいます。それは恐らく、私が発信している主たるテーマが、愛着障害や発達性トラウマに帰属するため、そこに響いておられる方が、お申し込みをしてくださるからだと考えられます。
ではなぜ、愛着障害や発達性トラウマの方(と、推測される方)たちが、自らの”生きづらさの原因”について、(下手をすると)広義のカウンセラー以上か、それと同等の知識を持ち合わせているかと言えば、愛着のトラウマを持った方たちは、自身の”生きづらさ”の原因が、どうあれ”自分にある”、”自分が悪い”と結論づけるしかなかった人達だからではないでしょうか。”自分が悪い”のだから、自分を正せばこの苦しみから抜け出せるに違いない、だから必要以上に学ぶし、努力だってするし、解決の糸口を必死に探し続けてきたのでしょう。わたしもこの”原因探し”に過去トータル何百万使ったか分からないです。
そんな中、繰り返される不毛な人間関係のパターンや、そうしたくないのに、何かに引きずられるように”そうしてしまう”といった、自分の悪しき行動の根本原因が、自分自身の認知に因るものではなく、自らの「命」を守るためにそうせざるを得なかった、過去に身に着けてきた自律神経系の自動反応によるものだったのだと、腹の底から理解できた時の衝撃は、今でも忘れられません。そして、それに対する最適なセラピーに出会い、取り組み続けたところ、(時間はかかりましたが)自分で自分をしっかり支え・守れる私(後天的に獲得された安定型愛着)を、ようやく手に入れつつあります。
ところで、先日、傾聴を受けてくださった方からこんな質問をいただきました。
「やっぱり、今後受けるとしたら、エビデンスのある心理療法の方がいいんでしょうか?」
ちなみに「エビデンスのある心理療法」とはどのような心理療法かと言うと、一言で言えば、「科学的根拠」のある心理療法と言うことになるでしょうか。
わたしが学んだIFS(内的家族システム療法)等がそれに当たるのですが、これはある一定数の被験者(クライエント)に対し、セラピーを受ける環境や症状の条件等を出来る限り等しく統制した上で、一定期間セラピーを受けてもらい、セラピーを受けた群と受けなかった群とを比較し、その効果を測定・分析・数値化し、受けた群に優位に効果が認められ、そのセラピーが有効であると第三者機関が認めた場合に、その治療はエビデンスベースであると認定されるということです。つまり、エビデンスベースのセラピーでは、その技法を使う治療者が誰であれ、同等の条件下においては、一定の効果があると認められているということです。
で、ここまで書いておきながらなんですが、先ほどの質問・・・
「やっぱり、今後受けるとしたら、エビデンスのある心理療法の方がいいんでしょうか?」
への答えですが、前にも書きましたが、わたしはクライエントが楽になるのであれば、それがエビデンスベースだろうがなかろうが、さらには、神がかったものであろうがなかろうが、何でもいいと思っています。相談するカウンセラーだって、国家資格があろうがなかろうが、民間資格保有者だろうが、どっちでもいいと思う。なぜなら、(クライエントだった時の経験から言わせてもらえれば)「相性」を超える条件って、そうそうないと思うから。
ただ、カウンセラーという立ち位置で、心理療法そのものに関して思うところを述べるとしたら、創始者がいる心理療法、さらにはその心理療法を教えて認定講師制度などを設けている団体について、創始者がエビデンスベースを目指していない場合は、その心理療法をお金を払ってまで学ばないと決めています。なぜなら、本当に良いセラピーであれば、一人でも多くの方に届けられるように、「誰が行っても同等の効果がある」ことを証明するのは、創始者の誠意であるし、努力義務であると思うからです。創始者や一部のセラピストが行うセッションに効果があって、それ以外のセラピストだと効果がないのでは?という疑念をクライエントに抱かせてしまうような技法を、わたしは出来る限り、用いたくはありません。ですが、もしそれでクライエントが何らかの精神的な癒しを得られているのだとしたら、それはそれとして「効果がある」ということですから、否定はしません。実際私もそうしたセラピーに救われた経験も間々ありますので。
どの立場でそのセラピーと関わるのか。それ次第で、質問への答えはだいぶ変わるなあといったところです。
☆きょうも最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき
愛着に傷つきを持つ方のピアグループ
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写真を眺めてほっと一息^^