わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

父の泪

 

 ゴールデンウィークが終わった後くらいから、前立腺がんの数値が徐々に悪くなり、再発を宣告された父でしたが、抗がん剤の新薬を二度変えたものの、状態はあまり改善されず、吐き気とめまいが出始めたために、6月末から再び入院生活を送っています。

 

 今度入院したら自分は生きて家には戻って来られないと思いこんでいるのでしょう。7月に入った頃から、父は精神的に乱れることが多くなりました。具体的にどう乱れるかというと、電話越しに声を張り上げて子どものように泣いてしまうのです。

 

「電話が来るだけで嬉しい」
「心細い」
「みんなに迷惑をかけている」
「お母さんを頼む」
「みんなともう一度会いたい」
「ご飯をみんなで食べたい」

 

そんな風な言葉を繰り返しながら、憚らずおんおんと声を上げて泣くのです。

 

わたしが知る限りですが、こんな父を見るのは初めてのことです。

 

「ほんとは、子どもの前でなんて泣きたくなかった」

 

と昨夜また、電話越しに泣くので、

 

「お父さんは、今までよく頑張ってきたんだから、泣いたっていいんだよ。」

 

と、声をかけましたが、それを聴いてさらに泣く・・という。

 

 

生涯を通して、これまで父とは事あるごとに対立ばかりしてきました。

 

言ってみれば「仇」のような存在の父でした。
まだ私が30代の頃だったか、大喧嘩をしたのですが、その時は、

 


「この人が死んだら、さぞ、せいせいするだろうな。お通夜の席はわたしにとっては祝賀パーテイーだな。」

 

なんて本気で思ったこともありました。

 

 

でも、今となっては、微塵もそんな風には思えなくて・・・。

 


目の前にいるのは、「死」を目前に控え、怖れ、心細さに混乱している、ひとりのどこにでもいる同じ人間なのです。

 

もっと早く、そんな父の側面に出逢えていたら、わたし自身、人に頼ることや、失敗すること、人に迷惑をかけることに対して、過度な構えや緊張感を持たずに、人生を送ってこられたのかな?つい、そんなことも思ってしまいますけどね・・・。

 

 

退院したら、父にこう伝えようと思います。

 

「お父さんは、今の自分が一番嫌いかも知れないけど、
私にとっては今のお父さんが、一番尊敬できるし、
一番大好きだよ・・」と。

 

 

 

☆きょうも最後までお読みくださり
ありがとうございました^^

 

 

写真家・認定心理士,産業カウンセラー
さとうみゆき

 

 

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