わたし歩記-あるき-

*心理士を目指す写真家の学びの記録*

記憶の行方

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 午前中はアマゾンプライムで映画を観ていました。

 

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 ネタバレしない程度にざっくりとあらすじをご紹介すると、性格の不一致から傷つけ合い、思い出すのも辛い恋の結末を迎えた男女2人が、新しい人生を生き直すために、ある時別々に同じクリニックで記憶を消す治療を受けます。すっかりお互いのことを忘れて、生きられると思いきや・・・。その年のバレンタインデイ、ジョエル(男性)とクレメンタイン(女性)は”モントーク”という海辺の街へ、理由は分からないけれど、どうしても行きたくなり、そこで再会してしまうのです。当然お互いのことは覚えていないのですが、相手になぜか初めから惹かれて仕方がない二人・・・。さて、二人の恋の行方はいかに?!記憶の行方はいかに?!とまあ、そんな感じの映画です。

 

 

 そもそもどうしてこの映画を観ようと思ったのかと言うと、こちらの本がきっかけでした。

 

 

 

 

 記憶が遺伝すると言うことは、昨今の研究でかなり分かってきたことですが、著書によれば、マウスの実験では少なくとも5世代に渡って維持されると書かれています。では、人間ではどうか?と言うと、ホロコースト生還者の子どもたちの神経生物学的な影響についての研究者の一人であるレイチェル・イェフダによれば、生還者の子どもたちに関してはコルチゾールをはじめ、不安の生理学的マーカーが有意に変化していることを明らかにしています。そう考えると、出産前の父母の精神的なケアがいかに大切かが自ずと理解できるかと思います。

 

 では、具体的なケアとはどういうことなのでしょうか?著者のピーターはそれはトラウマとの安全な「再交渉」であると述べ、それまでの暴露(エクスポージャー)療法に警鐘を鳴らしています。以前のトラウマ治療と言えば、フロイトやユングに代表されるような、催眠療法でトラウマティックな出来事を「思い出し」「語る」ことで回復するとされていました。ですが、それではかえって症状は強化されてしまうことが分かってきたのです。ピーターは過去の記憶にアクセスするのではなく、先ず、現在(いま、ここ)に留まった上で、現在の出来事による身体の反応に着目し、トラウマ体験時に未完のままとなっている感情や動作を見極めて、身体と繋げるという手法をとりました。これが昨今じわじわ知られるようになってきているSE™と呼ばれているセラピーです。

 

 

 ピーターはそんなに辛いのなら、再交渉なんてめんどくさいことはしないで、いっそ記憶を消去すれば良いのでは?という問いにそうは思わないと答えています。なぜなら、記憶というのは細胞に記憶されており、未完のままの傷みはそれを完了させようと、何度も、何度も、同じ状況を体験させると言うのです。そこで引き合いに出されてきたのが、最初に登場した「エターナルサンシャイン」という映画です。

 

 

 結論から言ってしまうと、記憶を失った二人は、ある事件がきっかけで、記憶を取り戻すことになるのです。そして、付き合っていた時には胸に秘めて言えずにいた、お互いの愚痴をさらけ出し、「いずれまた、私たちは性格の不一致から罵声を浴びさせあうような関係になるかもしれない」ことを承知の上で、再び共に生きることを選ぶ・・・というところでフィナーレを迎えます。

 

 

 この映画を観終わった後、わたしにとっての「もう二度と思い出したくない過去」、「あの体験さえなければ、今、もっと幸せだったんじゃない?」とくすぶっていた出来事が、なんだか以前とはまったく違ったものに感じられたのでした。

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき