わたし歩記-あるき-

*心理士を目指す写真家の学びの記録*

「分かってもらえなかった」の後遺症①

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可愛い子ガモたち

 

 前回の記事では、先天的なものだと言われている昨今話題のHSPの特性が、実は後天的・学習的なものではないだろうか?と言う可能性について書きました。

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 

 反応に一貫性がない養育者の元で育てられたり、適切なタイミングで適切な共感を得られなかった(情緒的ネグレクトされた)子どもは、幼児期から児童期になる前の発達段階で、行動の効率化と反応の合理化のため、本来なら剪定されるはずの神経のニューロンがそのままになってしまい、通常の人よりも何倍もの状況推理が立ち上がり、人の気持ちや、あらゆる可能性をあれこれ考えて悩んでしまう・・・これが繊細さんの仕組みではないかと書きました。そりゃあ、それだけの仮説が一瞬にして脳内を駈け巡るのですから、ひとつくらい「やっぱりね・・・。思った通りだったよ。」という結果になるのも無理はないのです。そして、その結果、ますます「わたしは、人の気持ちがなぜだか分かってしまう」と言う思い込みを強化していくのですが・・。(そしてそれは多くの場合、自分にとって否定的な内容だったりするんですよね。^^;)長年に渡り身に着けたこのスキルは、人より多くの推理のカードを持つことで、自分で自分を守ることを助けたし、少しでも危険を早く、多く察知しながら、養育者のご機嫌を取るための生きるスキルだったとも言えます。

 

 このように常に複数の状況判断の可能性を脳内に走らせていると、常に脳は緊張状態となります。幸いいまこの国には戦争はありませんが、変な話、脳内の緊張は戦時下と同じと言っても良い状況なのです。そのため、「どうにかして、事前に相手の攻撃をかわさなければ」、「やられるまえに、逃げなければ」という防衛に、日常でのほとんどの生命エネルギーは消費され、「自分を生きる」ことや、「人生を楽しむ」ことにまで余力が残らないのです。これが、所謂「複雑性トラウマ」の人が置かれている状況です。

 

 

 わたし自身、長年この「複雑性トラウマ」に苦しんできました。否、ようやく何故自分がこんなにも「ただ生きているだけなのに苦しかったのか」を理解し始めたところだと言って良いでしょう。

 

 

 「複雑性トラウマ」に苦しんでいる人の多くが、(こんなにも自分は相手の気持ちを幾重にも察して、相手の機嫌をとり、不満を取り除こうと必死だったにも関わらず)「自分の気持ちを分かってもらえなかった」と言う傷を抱えているように思います。そして、そんな「自分を分かってくれなかった」世界への怒り、他人への怒り、さらには、自分に無理を強いてきた自分自身への怒りを核爆弾のように持ち運んでいます。

 そしてその怒りの下には必ずと言って良いほど「悔しかった」と言う感情を人生のベースノートとして抱えています。この「悔しかった」こそが、「分かってもらえなかった」の後遺症の根っこなのですが、なかなかこれを解き放つのが難しいのです。

 

 

 あなたがもし、外で赤の他人に道を訊かれ、丁寧に行き方を教えてあげたにも関わらず、その人が全く分かっていなかった時、どうしますか?だいたいの人が、「もう一度、ゆっくり伝える」とか「他の言い方で試してみる」など手段を変えてアプローチをするのではないかと思います。そして、もし分かってもらえなくても、「ま、いっか。赤の他人だし。わからなければまた途中で他の誰かに訊くよね。」と開き直れるはずです。

 

 ところが、「分かってもらえなかった」の後遺症を持っている人は、「どうせまた自分を正しく分かってもらえっこない」、「どうせまた誤解されるに違いない」と言うのがスタンダードですから、「分かってもらう」プロセスに普通の人以上に焦りを感じています。そしてその結果、どうなるかと言うと、まだ付き合いの浅い人に対して、世間話ではなく、「え?わたしまだあなたのそんな深い話聞く準備出来てないですけど・・」と警戒される類の自己開示をしてみたり、「この人、重たいなあ・・」と距離を置かれるような発言をしてしまうのです。すると結果、相手は一歩後ろに引くような形になりますから、その様子を自分に心を開いてくれていないと勘違いして、「また分かってもらえなかった、悔しい。」と言う観念を強化するのです。すべて自分を「今度こそ、ちゃんと分かってもらいたい!」という、切実な、切迫した気持ちからの言動なのですが、「分かってもらえなかった」の後遺症を持っていると、この加減や人との距離感が分からなくなってしまうのです。

 

 でも実は、このケースのように、分かってもらえなかったの勘違いをして「人との距離が出来て終わり」の方がまだマシなのかも知れません。次回は「分かってもらえなかった」の後遺症を持っている人が、人間関係でどんな罠にハマりやすいのかを書きたいと思います。

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき