わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

死はその瞬間まで段階的に何度でも訪れるものかも知れない

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このところ、ベルの病状について
あまり書いていませんでした。
気にかけてくださっていたり、
逆に問うのに気が引ける方も
ひょっとしたら居られるのかも知れないと思い、
今日はベルの「今」について
書きたいと思います。

 


先月、実家に帰省して以降、
本当に不思議なことに、
ベルの容体は安定しています。 
もちろんそれは
「全快した」とイコールの意味にはならないのですが、
微弱だけれど、着実に打ってはいる脈のごとく、
とにかく「安定」しているのです。

 

 

そんなベルの容体と連動するように、
わたし自身の”心のあり様”も、
「安定」してきました。

 

 

このわたしの「安定」ですが、
これははっきりと自覚があるのですが、
母との共感体験を得たあの瞬間から
醸成されたのではないかな?と考えられます。

 

hanahiroinoniwa.hatenablog.com

 


この「安定」の影響は、
ベルに関すること以外にも及んでいて、
これはまた別の機会にでも
書いてみたいと思っています。

 

 

ひと月前のわたしは、
ベルとの別れの日が近いと言う
現実を受け止めきれず、
その認めたくない現実から、
自分自身も離脱(自死)してしまいたいと
思っていました。
そして実際に、
それを企図しようさえしていました。

 

一方、今のわたしはと言うと、
何をどう頑張っても、
日に日に身体が痩せこけて
骨と皮だけになっていくベルに対して、
比較的落ち着いた心で接することが
できているように思います。

 

もちろん、ベルと別れたくはないし、
1日でも長く一緒に居たい思いは
まったく変わってはいません。

 

けれど、以前とは違い、
四六時中、ベルの「いのち」を
見張ることがなくなりました。
今は、もし、わたしが不在をしたり
目を離した隙に、
ベルが天へと還ってしまったとしても、
「その時がベルの”いのち”にとっての最善の時なのだ」
と言う信頼が心の内にあるような気がしています。

 

自分でも自分の変化に
少し驚いているところがあり、
これってなぜだろう?と
思いめぐらしていたのですが、
この間ふと、
「死と言うのは、呼吸が止まる瞬間だけを
指すのではないのではないか?」
と言う言葉が浮かびました。

 

妙な表現になりますが、
わたしがわたしの命に代えてでも
失いたくない、失ってはならないと
七転八倒、葛藤していた”ベル”は、
もうとっくに「死んで」しまったのです。

 

コロコロ、ふわふわ、
ぷっくり柔らかな筋肉を
揺らしながら全身で
わたしに甘えてきたベルは
もうこの世にすでに居ないのです。

 

ご飯をあげれば、
「もっともっと」と、
口をとがらせてぶつかってきたベルは
もうこの世にすでに居ないのです。


名前を呼ぶと、
どんな離れた場所に居ても、
猛スピードで駆けてきたベルは、
もうこの世にすでに居ないのです。

 

 

代わりにここに居るのは、
被毛はすっかり抜け落ちて
因幡の白兎のようになり、
抱きしめると
痩せこけた関節が、
ごつごつと掌に当たって痛いくらいで、
一日のほとんどの時間を
異様に膨れたお腹を横たえて過ごす
ベルなのです。


けれど、そんなベルのことも
わたしは愛しくてたまらない。
最期まで、必ず守ってあげるからね・・・
そう呟きながら、この頃は
頭を撫でています。

 

 

この1か月、何度もわたしは
わたしがそれまで「ベル」だと認識してきた
その瞬間の「ベル」の死に
立ち会ってきたような気がしています。

 


それがつまり
俗にいう”「死」を受け入れていくこと”なのか?と
問われると、自分でもまだよく分からないのですが、
ただ、「死」と言うものが、わたしにとり、
何かこう”瞬間的なもの”ではなくなったことだけは
確かだと思っています。

 

 

 

きょうは先ほど動物病院で、
いつもの点滴と、
先週受けた精密検査の結果を聴いてきました。

 

 

先生曰く、

「数値は正直悪いです。ただ、
ベルちゃん自体の様子は、
なぜかは明確には言えませんが、
一時期より元気になっているように見えます。」

 

とのことでした。

 

なんて”ダブルバインド”的な診断なんだ・・・
と言えなくもないですが、
わたしにはむしろ、
それこそが”いのちの自然なあり様”のように思えて、
これからあと何度迎えるか分からない
ベルの「死」を、
共に越えてゆくには十分な見立てとして
せい一杯の希望をもって受け止めたのでした。

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^
さとうみゆき