わたし歩記-あるき-

心理カウンセラーでもある写真家のブログです

大嫌いな場所でなぜか癒されたお話

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5年前から3ヶ月にいっぺん、
必ず歯科医院へ通っています。
虫歯のチェックと
歯石クリーニングをしてもらうためです。

 

子供の頃からわたしにとって歯医者さんは
大嫌いな場所ナンバー1と
言っても過言ではないところでした。
そのせいか、必要に迫られて通院する以外は、
自発的に疎遠にしがちな場所だったのでした。

 

ではなぜそんなわたしが、
3ヶ月に1度、規則正しく歯科医院に
通っているのかと言うと、
あれは忘れもしない、
5年前の10月31日。ハロウィンの夜のこと。
夕飯に用意したサラダのブロッコリーを
前歯でかじった瞬間にそれは起きました。


「あれ?妙に前歯がスースーするな・・」


その時、口の中にはブロッコリーの舌触りとは
明らかに違った、何かこう、懐かしいのだけれど
でも、それは決して”そこ”にあってはならないと言った、
うすら寒い違和感が広がっていました。

 

 

おそるおそる、
口腔内のかみ砕かれたブロッコリーの欠片から
”それ”をつまみ出し、じっと観てみると
まぎれもなくそれは「歯」なのでした。
正確には、先刻までは
「歯」であったであろう何かなのでした。


「うそ・・・だよね?」

 

 

どうか夢であってほしい、夢であってくれ・・・
最後の希望を抱きつつ、
わたしは近くにあった手鏡に手を伸ばしました。


「イー」


するとそこに映ってたのは、
上の真ん中の前歯がポロリと根元から欠けた
ハロウィンの”かぼちゃのランプ”さながらの
間抜けでとぼけた自分の顔でした。

 

結局、破損したのが前歯であったことと、
もともと神経を抜いていた歯であったため、
審美性も考慮した結果、
泣けるほど高っいインプラントの手術を
受けることになりました。

 

以来、「もう二度と同じ轍は踏むまい」と、
まめまめしく歯科へ通うようになったのです。

その甲斐あってか、この5年、
虫歯には1本もならず、歯科衛生士さんによる
クリーニングのみで済んでいました。

 

 

ところが、8月の検診で、
「もしかしたら、奥歯が虫歯に
なりかかっているかも知れないので
一度先生に診てもらった方が・・」
と衛生士さんに言われ、診てもらうと
残念ながらその見立てはビンゴ!
5年ぶりに1階にある思い出の診療ルームへと
里帰り?することになりました。
(クリーニングは2階の個室で受けています。)


たかが5年、されど5年です。

 

以前担当してくださっていたS先生は、
どうやら系列の分院へ移られたそうで、
今回の治療からK先生が
わたしの主治医となりました。

 

 

「こんにちは、さとうさん!」

 

そう背後から声をかけてこられた先生を
拝顔した瞬間、
私の心に浮かんだのは、


「あー、残念。タイプじゃな~い!」



と言う不埒な想いでした。
だって、大嫌いな場所ですよ?^^;
そんな楽しみぐらいしか、
治療の恐怖を紛らわせる手段、
ないじゃありませんか?^^;

 

 

ところがです。
1回目の治療を終える頃には、
私はK先生のことが・・・
と言うより、K先生と過ごす
「治療の時間」そのものが
大好きになってしまったのです。

 

このK先生、とにかく「共感」が
恐ろしく丁寧で上手なのです。

 

 

「痛いよね~」
「ごめんね~」
「あ、今、痛かったかも知れないよね~」
「ごめんね。絶対に気を付けるからね。」
「あ、大丈夫だったかな?」
「頬っぺたちょっとだけ引っ張るよ~ごめんね~」
「すぐに楽にしてあげるからね~」
「よく頑張ったね~」
「もう痛くないからね~」
「痛くなったらすぐに電話してね~」
「前回の治療の後どうだったかなって心配してたんですよ~」
「かみ合わせの調子すごくよくなったね~。」

 

こんな感じで、治療前、治療中、治療後、
ずーっと、
もう本当にずーっと・・・
こちらの些細な表情の動きや
声にならない痛みの声に
ぴたーーーーっと、
寄り添ってくるんです。

 

歯の痛みって、
わたしのように普段から
比較的我慢強い人間であっても
ごまかしが利きません。
わたし自身が100%、
「正直」になっている場と言うことなのですが、
そこに絶え間なく、終わることのない
「共感」の雨が、
惜しみなく降ってくるわけです。

 

これ、久々にものすごい
「癒し」体験でした。

 

と言うか、
無条件で積極的な「共感」の力(by ロジャース)ってすごいな!
って身をもって学びました!

 

 

今日で治療も終了し、
3ヶ月後はまたクリーニングなので
K先生に会うことは当分ないのですが、
次もし虫歯になった時は、
また主治医はK先生がいいなと思っています。

 

 

 

きょうも、最後までお読みくださり
ありがとうございました^^

 

さとうみゆき