先日、臨床についての潮流を
いったん整理したくて購入したこちらの雑誌↓↓
そもそもは、東畑開人先生と
信田さよ子先生の論文読みたさで購入しました。
東畑先生のいつもながら、
(重鎮からのご批判を覚悟してのことなのでしょうけれど)
心理学に対するロックでパンクな・・・と言いますか、
もといパイオニア的な視点に
大いにはっとさせられたし、
(平成のありふれた心理療法="HAP"なんて造語センスとか)
信田先生の、一人歩きをしてしまう
心理用語への視点は
過去”アダルトチルドレン”について
書かれた頃から鋭いなあ・・と
思っていましたが、
今回も、「癒し」と言うワードや
「自己肯定感」と言うワードに対する
私たちが陥りやすい認識への考察には、
深く考えさせられるものがありました。
「自己肯定感」と言う
「自己完結性」の高い言葉が
かえって私たちを
出口のない迷路に迷わせている・・
ああ、そうかも知れない、と思いました。
そんな中、あまた寄稿された記事の中で、
私の目をひと際引いた論文がありました。
写真家、田村尚子さんの記事でした。
心理学の専門誌に写真家さんの記事が掲載されている!
そのことに、私は静かな興奮を覚えたのです。
フランスのラ・ボルド病院での
田村さんの活動とそこで出会った病院の院長である
故、ジャン・ウリ氏とのやり取りに始まり、
病院での「アトリエ」と呼ばれる
様々な”芸術療法”について記されていました。
この病院では、入院患者さんのことは
「滞在者」と呼ばれており、
アトリエ活動はその日の気分で選択し、
出てもいいし、出なくてもいい。
決まったグループもなく
ある時は朗読、ある時はパン作り、
またある時は、映画製作など様々。
ここでは診療以外にも、
専門家によるセミネール(セミナー)も
定期開催されていて
希望すればだれもが参加できる仕組みなのです。
その為、そこに集まる人種も
医学関係者をはじめ、文系、思想系、と様々。
私も行ってみたい!
(ここで現役時代に学んだフランス語がついに生かされるのか?!←いや、無理め。)
なんて、読みながら、ワクワクしました。
ところで、田村さんは写真家であるのに、
写真に関する内容があまり出てこないなあ・・・と
記事終盤まで読み進めてきたときでした。
田村さん自身のお話ではないのですが、
精神科医の故・中井久夫先生が、
患者にカメラを渡して撮影をしてもらい
それを治療に役立てていた・・・と言う件が
出てきたのです。
それは風景構成法 と言うらしく、
1970年代からすでにあったと言うではないですか!
これは、詳しく調査してみる価値があるかも知れない!
そこから今後私が学ぶべきポイント、方向性が
見えてくるのではないか?そう思ったのです。
田村さんの言葉は、
「あの時のカメラと治療の関係については
いまだに答えは出ていないが、いま、私がいえることは
あらゆる種類の価値の交換はどこにいても行われ、
そのことがまた未開の心を開く眼へと誘ってくれる。」
と結ばれています。
先をゆく人がいる。
そして、荒れ野を開拓しながら
道をつくってくれている人がいる。
そのことが、私の「未開の心」を
ブンと奮い立たせてくれました。
*田村さんの記事