わたし歩記-あるき-

*心理士を目指す写真家の学びの記録*

理論やメソッドの出自を知ることの大切さ

大学で心理学を学びはじめたことで
大きく変化したことの一つに、
参考文献として「査読」された文章を
意識して読むようになった、と言うことがあります。

「査読」された文章とは、学術論文をはじめとする、
専門家による「査定=審査」を通過し、
公に掲載価値が認められた
信頼性と妥当性に基づく文章のことです。

こうした文章を何の気なしに読み漁るようになってしばらく経ったある日のこと・・・

「あれ?以前〇〇さんがブログで書いていた〇〇メソッドに関する内容って
この論文がベースになってるのかな?」

(〇〇さんとは、メデイアではかなり有名で人気な
民間カウンセラーを名乗っておられる方です。)

「でも、待って?オリジナルの論文の解釈だと、
〇〇さんのアプローチ方法では、受け取り方によっては
クライアントにとって致命的なミスリードになるのでは・・?」

 

そんな風なことが最初は「ちょこちょこ」だったのが、
そのうちに「え、これもまた・・・」と言った具合に
頻繁に起きるようになったのです。

 

事実、広義、狭義も含め、心理カウンセラー業界で、
ある時期に突如ブレイクしてよく聞かれるようになる
インパクトのある「専門用語」と言うのは、
もう何年も前に学会で発表された後、
地道に研究が積み重ねられてきたものが
かなり多いのではないでしょうか?

 

例えば、じわじわと民間療法に広がりつつボウルビイの
「愛着理論」についての研究も、
1960年代からすでにはじまっていたものですが、
(日本では岡田尊司先生の著書が有名ですね。)
昨日今日でついに発見された
”生きづらさを改善する”期待のファクターと言わんばかりに
昨今、大流行の兆しが見られます。
古くはAC(アダルトチルドレン)、
また、ここ数年のHSPの認知度なども同様の傾向があります。

 

「愛着」とはボウルビイによれば、


特定の対象との情緒的な結びつきを指し、
乳幼児が母親との情緒的な相互作用を通して形成される、
母親との確固たる絆

 

を指し、生後3カ月から半年の間に
母親との間で築かれた「愛着スタイル」は一生を通じて
その人の社会的行動や、対人関係の基礎となると言われています。

 

 

 

より詳細を知りたい方は、岡田尊司先生の本が
分かりやすいと思いますので、ぜひ読んでみてください。

 

 

この「愛着理論」がどのようにデフォルメされて
いま、民間療法に広まっているか調べてみたところ、
安心・安全の基礎となる「愛着」が形成できなかったのだから、
私たちが「愛着」を形成する場を提供します、と言った具合がほとんどです。

私はその場に居合わせたことがないので分かりませんが、
多くの「愛着」改善を謳う広義のカウンセラーさんが行っているのが、
「愛着」に悩みを抱えている方たちとお茶会やお話会を定期的に開き、
家族のようにざっくばらんにお話を聴くことで
安心・安全のベースを心の中に作りましょう・・と言うアプローチ。

確かにこれに効果が全くないとは言い切れませんが、
「愛着障害」にはいくつものタイプがあり、
どのタイプも「人と集う」ことで改善するわけではないことや、
発達障害や遺伝的な理由から「愛着」に問題を持っておられる方の
ケースもあるため、なかなかに高度なアセスメント(評価)が求められます。

そう言った方の中には、「人とつながる」能力を伸ばす前に、
むしろ逆に「人とのつながりをしっかり閉じる」スキルを育てるのが
最優先だと言う方もいたりして、一口に「愛着」と言っても見立て次第では、
その方の人生を破壊してしまうようなケースだって起きかねないのです。

 

ちなみに私自身、長いこと「愛着」に問題を抱えておりましたが、
絵に描いたような誤った見立てと解釈をしてきたために、
改善までにだいぶ遠回りをしてしまいました。
(わたしの場合は人とのつながりをしっかりと”閉じる”方の能力を
先に身につけなくてはいけないタイプの人間でした。)

正しいアプローチで専門家の方と歩めた結果、
「これまでだいぶ”生きる”ためのエネルギーを無駄づかいしてきたんだな・・」と、
ようやく客観的に自分自身を捉えられるようになりつつあります。

 

査読のある学術論文などを理解するためには
基本的な用語を知る必要があるため、
なかなか読むことが厄介で面倒でもありますが、
読むのにお金も一切かからないですし、
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja
民間カウンセラーの方、また、クライアントさん自身でも
読む機会を持つことを、ここでひっそりと、おススメしたいと思います。